バイバイ・ブラックバード
擦過音がひびく。かすかな燃焼音につづいて、ほそく、
魂のぬけた
やがてその奥から、複数の靴音がちかづいてくる。硬質で急ぎ足のそれらの主が、
「バード捜査官、なぜここに?」
「いまはプライベートだ。ダニエルでかまわんよ。ただしダンはやめてくれ、お婆ちゃんにそうよばれてたんだ。思いだすとかなしくなる」
「ではバードさん。まず一点、この場所での喫煙は止めていただけますか? 精密機器がありますので」
「承服しかねる。どうせここのクソったれたシステムはもう動かせんよ。それより、私からもいいかな」
「こたえられることであれば」
「そのアンドロイド、銃をもっているが三原則がある以上、武装は無意味では? それともあれか、この木偶どもとおなじで第一条が無効になっているのかな。軍事用アンドロイドの件でアスクレーピオスをあれだけ批判したにもかかわらず」
ダニエルは首をしゃくってローカパーラのふたつの
「ものごとにはさまざまな面がある、ただそれだけのことですよ」
「ミルキーオーシャン・サイバネティックス・テクノロジーズCEOであるあんたが、ラーヴァナであるようにか?」
「……どこまで、しっているんですか?」
「さあ、どうだろうな」
「すこし冷静にかんがえた方がいいのでは? みたところあなたは随分と負傷しているようだ。そんな状態で武装した彼らを相手にできるんですか? ローカパーラほどではありませんが、アスクレーピオスの戦闘用アンドロイドよりは
「なんともいさましいことだ、ベビーフェイス。ただ、子分に
「なんとでもいえばいいです。どの道あなたがいきてここをでることはないんですから」
小銃をかまえたアンドロイドたちが展開する。平然とその様子をながめていたダニエルは、
「アヴィーラ。ようやく君のところにいけそうだ」
発砲、そして反動をまねてみせる。つぎの瞬間、彼の体内にしこまれていた軍用爆薬による爆轟が発生した。音速をこえたすさまじい衝撃は、ヴィマーナをおおった頑健な防壁によって一切放散することなく、閉ざされた区画でその威力を存分に発揮して内側にあったすべてを粉砕したのちに、通路を吹きぬけて全長四百メートルのエレベーターシャフトを経由し、ミルキーオーシャン・サイバネティックス・テクノロジーズの象徴ともよべる施設、発表会をおえて無人となったプレゼンテーション・ルームを吹きとばした。
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