女子会…?
練習1日目は押し手の練習だけで終わった。押し手を習得するのに意外と時間がかかった。いや、まだ完璧とは言えないが。それに、1回生全員に一度に指導しているので、意外と時間がかかるものだ。他にも、練習形式など、覚えることも多く、初めての練習はあっという間だった。
練習後に部室で着替えるが、体幹トレーニングや筋トレで、体中が痛い。
「筋トレがあるなんて聞いてないー!」
美姫ちゃんがむくれている。
今、女子部室にいるのは1回生だけだ。
「まあ、弓をひくためには筋力が必要だろうなって、筋トレは予想してだけど、体幹も鍛えるとは思ってなかったなー。たぶん、弓に負けないように、自分を支えるために必要なんだと思うけど。」
と言いながら横を見ると、千裕ちゃんが倒れてる。
「えっ? 大丈夫?」
「……今まで…PCの前で過ごしてたから…筋トレ……したことなかった……」
そう言うと、彼女は力尽きた。
「運動が苦手でも、比較的とっつきやすいスポーツって聞いてたけど、やっぱり、体づくりは必要なのか……」
喋りながら私は力尽きた千裕ちゃんをツンツンする。
ツンツンすると、若干顔をこちらに向けてくる。
時計を見る。1時半を過ぎている。
疲れたからか、すごくお腹が空いている。
「ねえ、一緒にごはん食べない?」
二人に声をかけてみる。
すると、千裕ちゃんが、ガバッと身体を起こした。
「…食べる……腹…減った」
口調は先程と変わらないが、目はキラキラしている。
「じゃあ、駅のところのパスタ屋さんはどうかしら? この前見つけてから気になってるの。」
美姫ちゃんも、目をキラキラさせている。
どうやら1回生女子は食べることが好きらしい。
美姫ちゃんが言っていた駅のそばのパスタ屋さんは、生パスタを売りにしているらしい。
扉を開く。
店内もおしゃれだ。
「何名様ですか?」
美姫ちゃんが、4人と伝える。
「わーい、女子会だね! 僕、すごく楽しみ!」
「優希ちゃん」もついてきたのだ。
奥の席に案内される。
私の隣に千裕ちゃん、ちょうど向かい側が美姫ちゃんで、そのとなりが優希ちゃんだ。
メニューを開く。美姫ちゃんと千裕ちゃんはすぐに決めた。優希ちゃんも、「えー、悩むなぁー」とか言いながらすぐに決めた。みんなを待たせまいと私は慌てて決めた。
「初めての練習、慣れないことだらけで、僕、疲れちゃったー。」
「すぐに射てると思ってたわ。」
「……樫村先輩…こわかった……」
「僕もちょっと怖いなって思っちゃったかな。『昔の血が騒いじゃってー』とか言ってたけど、何者なんだろうねー、っていうか、みんな個性的だよねー。」
お前が言うな、というように、私たちは優希ちゃんを一斉に見るが、気づいているのか、気づいていないのか……
「……そういえば…本柳先輩から……これ…借りた」
千裕ちゃんが何やら冊子のようなものをリュックから取り出した。
表紙は、弓を引く外国人の写真だ。
それは弓具のカタログだった。
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