玉城 将平
「オレ、玉城 将平。オレもついこないだ入部したんや。」
将平くんは、にっと笑ってみせる。
矢を取りにいっていた部員たちが戻ってくる。
そして、また弓を持ってライン上に並ぶ。
野崎さんが「同じ光景がずっと続くから、玉城くんとしゃべってていいし、好きな時に帰ってくれていいからね」と言って、また、射ち始めた。
「これから一緒に頑張っていこうな!よろしくな!」
3人で軽く自己紹介のようなものを済ませる。
「オレは、中学高校でアーチェリー部に入ってて、ブランクで筋力が落ちてるから、まだ全体練習には参加できてないけど、こうやって見学だけはしてるんや。」
練習風景を眺めながら、将平くんは、話し続ける。
「オレ、アーチェリーがめっちゃ好きで、絶対に大学でもアーチェリーやるって決めてたんや!」
そして、私たちにキメ顔をする。
「二人は、今までどんな部活にはいってたん?」
「私は、中学高校どっちも吹奏楽に入ってたよ。」
「何の楽器やってたん?」
「クラリネット。」
「リコーダーみたいなやつ? 蛇呼ぶやつ?」
将平くんは、リコーダーを吹く動作をノリノリでやってみせる。
「まぁ、リコーダーっぽいかな…? 蛇呼ぶのは、たぶん、オーボエのことじゃないかな?」
「うーん。中学の音楽の教科書で見たことがあるような……んで、としやんは?」
急に「としやん」と呼ばれた俊哉くんは、「え、僕のこと?」というような表情をした。
「えっと、僕は、小学校の時からバスケをしてたかな…」
「かっこいいやん。」
「でも、高1のときに、足首を故障しちゃって、辞めざるをえなくなったんだ……」
「なんか辛いこと聞いてしまってごめん……」
将平くんは、シュンとなる。
「いや、昔のことだから全然気にしないで!そこからずっと帰宅部だったんだけど、大学では変わりたいなって、何かをしなきゃなって思ったんだ。」
俊哉くんがニコっと笑ってみせる。
「じゃあ、としやんもあすみんもアーチェリーは初めてってことなんやね。」
え、私も、「あすみん」って呼ばれるの?
「練習始まって、わからんことがあったら、なんでも聞いてくれていいからね!」
そして、またキメ顔をする。
「まぁ、練習始まる前に、オレたちには、やらなきゃあかんことがあるけどな。」
将平くんは、そのまま話を続ける。
「アーチェリーってさ、マイナーなスポーツやから、いろんな人誘わんとな。特に女子は少なくなりがちやし。」
え、そうなの?
たしかに、部員を見てみると、女子の方が少ない。
「あすみんは、頑張って女子に声をかけてくれ。としやんも、誰か誘ってくれ。オレは、中高でやってた人たちに声をかけてみる。」
「わかった。」
私たちは、お互いに目を合わせた。それぞれの目からは、やる気がすごく伝わってきた。
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