第6話 脳内29歳の二歳児

時は絶ち気づけば二歳児になっていた。

もう歩けるし喋っても良いが、出来るだけ

親の前では謹んでおいた。


流石にまだ二歳であーだこーだ言ったら

不気味過ぎて除霊されたら困る。


とりあえず私はこの時代にパソコンは

復旧していない事は理解した。

良し、まずはまだ未発売の漫画や映画の

内容をパクって自作にする。


私は平静30年までの未来予想図が解っている。

金持ち決定。


ただ勉強不足だから兄の学校の教科書を

カバンから勝手に取り出して、

親が見ていない隙に漢字の練習をした。


ああ、平成30年には小学校低学年でも

たしか英語やるんだっけ。

今は平成2年。時代を感じる教科書だなぁ。


部屋にはパソコンは無く、広辞苑があった。

ああ、これこれ。

教科書よりこっちのが手っ取り早い。

飽きたなぁ。

イラストでも描こう。


私はクレヨンで画用紙に外国人の肖像画を描いた。

それを背後に居た母が見つけて叫んだ。


「由香ちゃん、凄い絵が上手だねぇ、

いやぁおったまげた。お父さんに見せよう。

二歳でこんな絵を描くなんて天才よ。」


あ、見つかったのとやり過ぎたかな。


「えー、由香ちゃんこんなに絵が上手なのか。

お父さんびっくりだよ。普通に大人でも描けない。」


兄と姉まで来てびっくりしていた。

そうだ、脳が29歳のままなんだ。


私が実際に二歳児の時に描いた絵は

ごくごく普通の二歳児っぽい絵だったが

これは流石に自分でも天才二歳児レベルにはなるな。


もしかしたら絵も更に上手くなるかも。

保育園で苛めっ子をフルボッコする前に

この二歳児期間は勉強と絵と体力作りに

鍛えて鍛えまくった。


そしてついに来た保育園。

むしろこれが原因で私は人見知りになったのだ。


脳内29歳の自分が見ると大したことない。

たしかあの頃を思い出せば母に大泣きして

保育園なんか行きたくない。

なんて言われながらも引っ張り出されたな。


今は此方から向かうよ。


「おかあちゃん!行ってくるねー!」


母は笑顔で園長先生に私を預けた。


「元気な子だねぇ!お母さん、この子は

活発で人気者になるかもしれませんね。」


園長先生は私の頭を撫でながら

年少の教室【りす組】へ案内した。


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