第一章
日常
「ねぇねぇ、小夜ちゃんの好きな人って誰?」
「いないよ」
「またまた~、そんなこと言ってー」
「いるんでしょ、好きな人。小夜合コンとかつきあってくんないじゃん」
「だって興味ないんだもん。そういう和歌子こそ好きな人いるんでしょ。てか、最近できたんでしょ」
「おい、安城。桃井に好きな人なんているわけねーだろ、こいつ色気とかねーし。」
「はぁ、山田それどういう意味?」
「そのまんまの意味。お前には色気がないって言ってんの」
「ちょっと山田、それ小夜ちゃんに失礼だよ」
「うるせー、安城。こいつに好きになられる男子諸君の気持ちを考えろ。まー、お前にはわかんないだろうけどな。」
「きー、ムカつく」
桃井小夜。山稜高校二年生。ただいま、親友の安城和歌子と恋バナ中だったのですがどこぞのサル、山田征哉があらわれ恋バナ終了。和歌子と山田の口喧嘩が行われいます。こんなことで私のお昼休みがつぶされても困ります。さて、どうしましょう。
「なによ、山田。あんた小夜ちゃんのよさがわからないわけ?アンタの目って節穴だらけじゃないの?」
「じゃあ、行ってみろよ。桃井の良さ。まぁ、200個くらいあったら認めてやってもいいけど」
おそらく山田は和歌子を好きなんだと思う。よく、和歌子が困っていると助けに行ってるし。和歌子の事やたら目で追ってるし。でも、自覚はなさそうだ。
キーンコーンカーンコーン
午後のチャイムだ。
「今日のところはお預けにしといてやるよ、安城」
「のぞむところよ。じゃ、あとでね、小夜ちゃん」
そう言って二人とも自分の席に帰っていく。そして午後の授業が始まる。
★
「小夜ちゃん今日の山田どう思う?」
「別に何も、なんで?」
「べっつにぃ。特に何もないけど」
学校からの帰り道。和歌子は私に聞いてきた。今日の口喧嘩のことなんだろうけど、めんどくさいからそっとしておく。
「あ、そうだ。小夜ちゃん今日帰りに時間ある?近くに新しくカフェできてたよね。あそこ、今日行ってみよ」
「いいよ、ちょうど気になってたし」
この時の私は知りもしなかった。まさか、キミがいるだなんて……。
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