第一章

日常

「ねぇねぇ、小夜ちゃんの好きな人って誰?」


「いないよ」


「またまた~、そんなこと言ってー」


「いるんでしょ、好きな人。小夜合コンとかつきあってくんないじゃん」


「だって興味ないんだもん。そういう和歌子こそ好きな人いるんでしょ。てか、最近できたんでしょ」


「おい、安城。桃井に好きな人なんているわけねーだろ、こいつ色気とかねーし。」


「はぁ、山田それどういう意味?」


「そのまんまの意味。お前には色気がないって言ってんの」


「ちょっと山田、それ小夜ちゃんに失礼だよ」


「うるせー、安城。こいつに好きになられる男子諸君の気持ちを考えろ。まー、お前にはわかんないだろうけどな。」


「きー、ムカつく」


桃井小夜。山稜高校二年生。ただいま、親友の安城和歌子と恋バナ中だったのですがどこぞのサル、山田征哉があらわれ恋バナ終了。和歌子と山田の口喧嘩が行われいます。こんなことで私のお昼休みがつぶされても困ります。さて、どうしましょう。


「なによ、山田。あんた小夜ちゃんのよさがわからないわけ?アンタの目って節穴だらけじゃないの?」


「じゃあ、行ってみろよ。桃井の良さ。まぁ、200個くらいあったら認めてやってもいいけど」


おそらく山田は和歌子を好きなんだと思う。よく、和歌子が困っていると助けに行ってるし。和歌子の事やたら目で追ってるし。でも、自覚はなさそうだ。


キーンコーンカーンコーン


午後のチャイムだ。


「今日のところはお預けにしといてやるよ、安城」


「のぞむところよ。じゃ、あとでね、小夜ちゃん」


そう言って二人とも自分の席に帰っていく。そして午後の授業が始まる。



「小夜ちゃん今日の山田どう思う?」


「別に何も、なんで?」


「べっつにぃ。特に何もないけど」


学校からの帰り道。和歌子は私に聞いてきた。今日の口喧嘩のことなんだろうけど、めんどくさいからそっとしておく。


「あ、そうだ。小夜ちゃん今日帰りに時間ある?近くに新しくカフェできてたよね。あそこ、今日行ってみよ」


「いいよ、ちょうど気になってたし」


この時の私は知りもしなかった。まさか、キミがいるだなんて……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る