叛闘REBELの日常

@A1tri4

第1話

相変わらず平和だ、とアルトリアは思う。

あの高校の残党が、武器を持ち、まだ戦いをしていると。そしてそのメンバーの拘束をクライアントから依頼され、請け負うことになった。ともすれば皆仕事や各々の作業で多少なりともピリつくと予想していたのだが。

「あず、プリンとアイス、どっちがいい?」

「ぐぬぬ…迷うにゃ……プリン!」

隊長ベルとあずが共用の冷蔵庫を前にそんなやり取りをする。

「はーい、んじゃこれあずのプリン──」

「──んな訳あるかぁぁぁぁぁ!」

間一髪、蓋に『食ったら殺す』と書かれたプリンがあずの手に渡る前に副隊長くまが叫びながら扉を開けこちらに近付く。

「チッ…」

「ねぇ何で舌打ちしたの!?それどう見ても俺のだよね!?」

隊長のあからさまな態度に堪らずくまが悲鳴じみた声を上げ、ため息をつきながらプリンを取り返そうとしたが、隊長がそれを躱し数歩下がる。

「……」

「……」

二人の間に沈黙が訪れる。

「…あの、隊長」

「あげないよ?」

「俺のプリン返せええええええ!」

即答で拒否されたくまが一瞬で隊長に肉薄にするも、流石は隊長を名乗るだけはある。危なげもなく簡単に避ける。

「ちゃんと書いたのに勝手に食うっておかしくない!?」

「勝手に食べられるのが嫌なら早く食べちゃえばいいじゃん!」

「そういう問題じゃないでしょ!?アルも何か言ってやってくれ!」

「は!?俺っすか!?」

急な振りに思わず声が裏返る。何故だ。ただ傍観していただけなのに。と心の中で愚痴をこぼす。

「…後で買ってきますから…隊長も、人のモンは勝手に食べないようにしてください」

「しょうがないなぁ…」

「っしゃぁ!サンキューアル!」

軍にいた頃の、共用のロッカーにしまったお菓子が勝手に食べられていた事を思い出しながら、機嫌を戻した二人を眺めながらふと思う。


──今日も、叛闘は平和である。と。

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