第3話賛成の反対なのだ!
ジュリア・アンドーナッツはひとつの疑問を抱いていた。
その疑問はいずれ彼女の人生をも左右する出来後に繋がって行くとは、隣りで柿ピーにむさぼりつく婚約者のジーパン先生はもちろん、本人に知る由はなかった。
「ねぇジーパン。なんかいつもと雰囲気違くない?」
ジーパンはジュリアが指差す方を見て
「えっ、そうかい?・・・そう言われればたしかにいつものキレがないかもね。」
ジュリアが続く
「うん。いつもはファイアーボールのような、しなやかさがあるんだけど。」
二人は大のサッカーファンであり、特にマリオのファンであった。
それはまるでコロ助が・・・(以下省略)
今日は二人の好きなサッカー観戦に来ていたのである。
1時間後‥‥
試合が終わった…
しかし今日の観戦者のほとんどは、未だに席を離れようとはしないのである。
何故かと言うと、試合後マリオが引退宣言をするサプライズが始まったからであった。
その頃、事件現場では花上と安西、ルミコは佐藤に正座させられていた。
「お前達は!現場は掻き回す!やりたい放題いいかげんにしろ!」
「いいじゃないですか警部補。きっと彼らなりに、何かあって行動してるんですよ。」
「なあ、ルミコ君?」
座っている清野が足を組直してルミコに聞いてみる。
しかし‥‥
「タライ‥‥」
ルミコはそう言うとほくそ笑んだまま佐藤を見つめた。
「そんなことあるか!お前の助手だろ!」
「僕は自由主義なもので」
清野は薄ら笑いをしながら答えた。
「いつまで私達はこのままなんですか?私は婚約者のマリオを殺されたんですよ。」
壁の隅で泣き崩れていた、ジャネット小林がよろめきながら呟いた。
「しょうがない。私、清野耕助がEXILEの名にかけて推理を発表する時がきたようですね」
清野はイスから立ち上がり一同を見渡した。
「犯人、マリオネットはあえて、この中にいる!」
「ヒントはヒゲです!」
「ヒゲ!?」
一同は呆気に取られたように声を揃えた。
一方スタジアムでは‥‥
「こんなサプライズがあるならジャネットもくれば良かったのに」
ジュリアがグランドで観客に手をふるマリオを見ながら溜息を吐いた。
「そんなこと言ったって、しょうがないじゃないか」
ジーパンはえなり君のモノマネで答えたがジュリアはあえて無視した。
事件が少し進んだことも知らずに‥‥
「ヒゲとはどういうことだい探偵?」
「ええ、これは私の永遠のライバル怪盗ヒゲゴリラの仕業です。たぶん…」
「根拠はあるんだろうな!また的ハズレなんじゃないのかい?」
佐藤が詰め寄る。
「ブタゴリラのくせにうるせえな。」
ルミコがつぶやく。
「まっ、これを見て下さい。」
耕助は上着のポケットから1枚の封筒を取り出した。
「そもそも探偵の私が何故ここにいるのかって事ですよ。」
「どれどれ」
佐藤が手紙を読み出す。
久しぶりだな探偵君。
パンダコパンダ失踪事件以来かな?
来る九月五日、群馬の鶴亀旅館にてサプライズが起きる。
君にこの謎が解けるかな?
怪盗ヒゲゴリラこと山田健二より
「あっあのー。ちょっといいですか?」
神妙な面持ちで、堂本が話出す。
「ここは、堂本旅館です。鶴亀さんは隣り町の旅館ですよ。」
一瞬の間が空き、全員が耕助に目をやる。
「なに!騙されたー!」
そのまま耕助は、ルミコを引き連れ一目散に旅館を出ていった。
その時だ!
ガゴーン!
ガゴーン!
ガゴーン!
佐藤の頭に連打でタライが落ちて来た。
柱の影からルミコが、裁判が終わり勝訴と書いた紙を報道陣に見せるように、ブタゴリラと書いた紙を手にあざけり笑っていた。
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