第四章 俺の初クエは上手くいくはず!?
さっきまで俺の雑魚ステータスで騒がしかったギルド内は、やっと落ち着き始めた。本当に俺のステータスとスキルがカスすぎるなんてな、未だに俺は受け入れていない。
さてファテナの冒険者カードを見せてもらうか。
あんなに俺を馬鹿にしたんだから。あいつもそんなに強くないはずだ、だから逆にファテナを馬鹿にしてやろうじゃないか。
「ファテナ?お前のステータスとスキルを調べさせてもらおうじゃないか」
「あらら、ゴブリン子分のユウマじゃないですかぁ~?」
確かにゴブリン子分並に弱いからなにも言い返せないのが、本当に死にたくなる。俺を転生させてほしい。どこかのライトノベルの最強主人公たちみたいにさせてくれ。
「いいから冒険者カードを見せてくれ!」
「今から見せてあげるから急がせないでよぉ~」
早く俺はこいつを馬鹿にしたいのだからな。
「これが私の冒険者カードよ!」
「えっと~どれどれ」
ワクワク…って嘘だろ。こんなやつが。
「あなたは、ほんとにファテナさんですよね?」
「そうに決まってるじゃない!」
「もうそんな冗談ですよねぇ~」
「なんで私が冗談言わなきゃいけないのよ!」
「ですよねぇ~」
俺はこいつを偽物だと思って何度か本物か聞いてみたが本物のファテナだった。夢でもないしな。こんな馬鹿ぽいところもファテナだもんな。
えっと説明するとだなファテナの冒険者カードには、強いステータスと、スペシャルスキル?的なものが書いてあった。一応俺のアルバイト給料上げもスペシャルスキルらしい。
ステータスは、攻撃力や防御力など他のステータスはそこそこだが、魔法力がずば抜けていた。しかもファテナ自信のLevelが5レベというなんともチートステータスだ。
「どうかしら!私のステを見てビックリしたかしら」
「いや…まだだスペシャルスキルがカスなはず!」
「ふふ」とファテナが満面の笑みになる。
スペシャルスキルは…魔法力を10倍~100倍にする。ただランダムに決まる。
「どうかしら?私のスキルは?」
本当にこの世界の女神は、クソすぎる。
「もう何も言えません」
「私の凄さに気づくのが遅すぎるわよ!」
てかまてよ、なんでこいつはチートステでチートスキルを持っていてLevelがこんなに低い。魔王四天王だって、強いパーティーと組んでㇾべ上げをすれば倒せるじゃないか。
「なぁ~ファテナさんよ?」
「どうしたのかしら?ユウマ?」
「冒険者の登録したのは、いつなのかなぁ~?」
「もうあれから…そうね!3年前ね」
そんな、こいつは今までなにをして生きていたのだ。普通はいろんなクエストを受けたり、強くなってボスや魔王を倒すのを目指すだろ。
「ファテナ、今までクエストを受け数は?」
「なんか今日は質問が多いわね」
「いいから答えろ」
「たしか3回くらいかしら!」
ありえない…。本当に勿体無いからそのステを俺と交換してほしい。女神は馬鹿だ。やる気のない奴にチートステを託してどうするのだ。
「ちなみに私はアルバイトをずっとしていたのよ!」
「だから私は、ユウマのスペシャルスキルがほしかったよぉ~」
俺はアルバイトをする予定などないからスペシャルスキルを使うことは、絶対にありえない。とりあえずファテナは強いステを持っていたことがわかった。
そういえばジョブ(職業)を決めてなかったからジョブを決めなきゃだな。
オンラインゲームなどでは、やはりソードマン(剣士)が一番だ。
男ならソードマンを選ぶだろう。前にでて戦う快感は気持ちいいしな。
いや本当はウィザード(魔法使い)の扱いが難しいからなんだけど。
とりあえず受付人にお願いしてくるとしますか。
「すいません!ジョブ決めたので登録してもらってもいいですか?」
「はい!えっと~ソードマンですね!」
やっと俺もクエストにでて強くなって、難関なボスと戦えたりできるのか。楽しみすぎて涎が垂れる。
「あの~ユウマさんはゴブリン子分っていうジョブの方がいいのではないですか?」
うん?聞いたことがないぞ。どこのゲームにもゴブリン子分なんてジョブ。
しかもなんでそんなジョブがあるんだよ。あっ…自由の女神か。
この異世界だったらありえるのかも。俺も変な異世界に慣れたのかもな。
「ゴブリン子分でいいじゃない!」
ファテナはいつも変なところで俺に突っ込んでくる。
「いやソードマンで大丈夫なんで!」
「はい!かしこまりました」
俺は、やっとジョブに就けて一安心。もちろんゴブリン子分などでは、なくソードマンだ。ファテナは、ウィザードらしい。
さて早速だが初めてのクエストを受けてみるとするか。
「お~いファテナ!クエストを受けてみよう!」
またアルバイトの募集の紙を見ているファテナに声を掛ける。
「なんで私がクエストに行かなきゃいけないのよ」
「俺は、初クエなんだから!手伝えよ」
正直俺は一人じゃ勝てる自信がない。俺が強ステの持ち主だったら一人でクエストに行っていたのにな。
「ファテナの強いところを見せてくれよ~」
「えへへ、しょうがないわねぇ」
この女ちょろすぎるな。
「じゃファテナ、クエストを受けてくれないか」
「それじゃ、受けてくるわね!」
さすがに酷いクエストを受けてくることはないだろう。
「受けてきたわ。それじゃ行こうかしら?!」
「おう!」
ようやく俺の冒険が始まる。今度こそは、俺のカッコイイところを魅せれるな。
俺達は、始まりの町の正門を抜け、広がる緑の草原にでた。
そういえばどんなクエストを受けたのか見てなかったな。たぶんスライム10体倒せ的なクエストだろう。初クエには妥当だ。
「ファテナ~どんなクエスト受けたのだ?」
「今その場所に着くから楽しみにしてなさい!」
まてよ…。なんかおかしいぞ。スライムならそこらへんにいる。ゴブリンならさっき見た。そいつらを素通りするってことは、まさか。
「ついたわよ!」
「そして浮かんでいるモンスターが目標らしいわ!」
俺は顔を上にあげる。
「ぎゃあああああ」
思わず奇声を上げてしまった。
奇声をあげたのは、現実世界でオバケをみたとき以来だ。
そこには、物凄く気持ち悪くドロドロしていた、キメラが飛んでいた。
あれは、どんなモンスターが合成したらあんなに気持ち悪くなるのか気になるな。
「どうしてこんな強そうなモンスターを選んだんだ!」
「だって…報酬が沢山でると書いてあったのよ」
やはりこいつにクエストを頼んだのが間違いだったのか。
「ユウマがちゃんとクエストを見てればよかったのに」
確かに俺にも責任がある、がこいつも馬鹿すぎるだろ。誰が初クエでモンスターLevel58くらいなモンスターと戦わなければいけないのだ。
「よし!ファテナ逃げよう」
「でも報酬が…」
「そんなのどうでもいいから逃げるぞ」
「それにしてもきっもいモンスターね!」
そんなことを言ったらモンスターが…。
「余計な事を言うんじゃない!ほらやっぱり」
ものすごい勢いで俺達に襲いかかってきた。
もうしょうがない、戦うしかないな。ファテナはチートステを持っているのだから勝ち目はなくはないだろう。俺も一度戦いをしなければならないと思っていた。
「逃げるのは諦めることにしよう」
「ファテナ!SSスキル(スペシャルスキル)を使って魔法を唱えろ」
俺が支持をすると、ファテナは手を水平にあげて魔法の準備をする。
その間に、俺が持ちこたえるしかないな。
「そのまま魔法を使えるまで魔力を溜めてくれ!」
剣に力を入れ、俺はキメラに初期の剣で思いっきり切りかかる。
「スラッシュ!!」
スキルは、使えたようだな。だがやはり初期の剣じゃだめか。剣が折れてしまった。それにレベル上げもしてないしな。
「時間は稼げたぞ!ファテナ魔法を打てぇ~」
ファテナの方を見ると…
そこには、焦った顔のファテナがいる。
「どうしたんだよ」
「私…魔法スキル覚えてなかったわ!」
「はぁ~お前ウィザードなのになんで覚えていないんだよ」
「だって私、盗賊スキルにポイントをいれてたのよ」
やはりファテナは残念なやつだったか。
「ふざけるなぁぁぁぁ」
キメラが俺たちの上で猛火を吐こうとしている。また俺は死ぬのか。
この世界で俺は何度死んでしまうのだろう。
「ファテナさん、もう諦めよう」
「そうね、ユウマさん」
俺たちは諦めて死ぬことを決心して横になって目を瞑る。
猛烈の熱さで俺たちのHPは削られる。ちょくちょく痛みを味わいながら。
そうしてHPが0になりGameOverになった。2度目の棺桶は慣れたな。
俺の初クエストは失敗して終わってしまった。
「だっさい勇兄ちゃんね!!」
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