手を伸ばす先に

声が聞こえ始めた

恨み辛みに挟まれて

疑心暗鬼な幸せの唄


雁字搦めな柔い紐が

肌に食い込み締め上げていく

ああ、あの洞穴に落とされる訳でもなく

ぎちぎちと閉まる柔らかな真綿


呪いの唄じゃない

幸福の祈りじゃない

この紐は自戒

本能と理性と感情と

静けさへ発せられる叫び


声は呪うな幸せになれという

声は幸せになれ呪うなという

その言葉で崩壊するのは何だろう

どちらが先に崩壊するのだろう


精神か

身体か


分かるのは唯一、

空洞になっていく我が身の内

精神が壊れるなら身体よ傷つけ

身体が壊れるなら精神よ病ませ


自戒の糸よ

意図の先を掴めるまでは

どうか我にアレテーの道を

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