貝がら
大義を掲げて見ても、上司の顔色、土色の無
呪文を唱えよ、進行するぞ!
今日も食事は土の味
無理やり喉に押し込んで
早く終われが胃を満たす
面倒見のいい男が笑って語る
何かの縁とつらつらと
余計な事までしゃべって笑う
「俺の家族は死んだんだ」
そう突き放せば「そうか」と小さく笑う
ずっとアイツは喋っている
社交上手のアイツは上りつめ
明日には死ぬぞと思うは俺くらい
あとは怯えて捨て石だ
ある日
何かの計画が始まって
「俺が死んだら遺骨を家族に届けてほしい」
この地位ならお金は弾む、と
なんだコイツは馬鹿なのか
「俺は死ぬ気でここにいる」
「そういうお前が生き残る」
変わらずへらへら笑って言うものだから
ヤツの尊敬している母と父、愛している弟妹に会いたくなった
分かったとは言わないが、
何かあったらコイツを庇おう
待つ人がいるのは幸せだ
だから肉も骨もなくしたお前を
信じられずに辺りを探す
着けてた腕章、焦げた手紙
俺が上手く死なずが現実で
聞こえるラジオが非現実
無数にある死に体は誰も彼もが初対面
どうしようかと悩んで泣いて
そういえば、海に散らばる貝殻は
骨のようにも見えなくない
お前の歳だけ拾って帰る
なんだこれは、なんだこれはと泣きながら
彼の、母は、凛とした、とても、綺麗な、人だった
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