紙束

今日は手紙が届く日だ

漢字ばかり難しい

そんな手紙が母宛に

読んでは小さく笑う母


ある日、『兄ちゃん』がやってきた

たくさん遊んでもらえたし

一緒に畑でお仕事も

笑うとブサイクな『兄ちゃん』は

楽しそうに笑っているの

野球もするし、縄跳びするし

『お兄ちゃん』が帰ってきたみたい

母ちゃんも父ちゃんもうれしそう

手紙もくれるし、お土産くれる

一緒に暮らせればいいのにと我が儘ごねる

そのたび『兄ちゃん』は泣きそうに笑ってる


今日は手紙が届く日だった

何かのお偉いさんが来て

裁判がどうとか、言っていた

よく意味が分からなかったが

けれど母の手元を見ると

『兄ちゃん』が壺をくれた時と

同じような紙束が握られいて

怒鳴らぬ母が「こんなもの」と叫んでた


それでパチリと目が醒めた

お兄ちゃんも、兄ちゃんも

ここへは戻って来れないと

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