第136話 帰宅の途 (8)

〈グイ~!〉


「あれ~」


 と、思わずエヴァの口から声が漏れます。


 と、同時に「竹輪の御主人よ。儂に身体に触れてはいけぬのぅ~。儂の身体は、殿だけの物だからのぅ~」と、レヴィアタンから、ちくわの御主人へと不満の声が漏れるのと。


「その通りですよ。ちくわの御主人……エヴァの身体も旦那さまだけの物です……」と。


 レヴィアタンだけではなくエヴァからも、隣の御主人へと不満の声が漏れます。


 だってちくわの御主人は、エヴァとレヴィアタンの腰に手を回して、自分の方へと寄せて。エヴァ達二人を自分の方へとしな垂れ掛からせようとするので。エヴァは再度ちくわの御主人へと。


「だめですよ~。おじいちゃん~。次にこんな悪態行為をしたら『メッ!』をしますよ~。わかりましたか~? おじいちゃん~?」


 と、諫めの言葉を告げたのです。


 でッ、その後は、何処かの誰かさん、の手を叩くように「メッ!」と言葉を漏らしながら軽く叩いて、ちくわの御主を人あしらったのです。


 まあ、何処かの誰かさんと言うのは、エヴァの義父である。お父様のことなのですが。エヴァのお父様とちくわの御主を人と一緒で、魔族と交わり嫁にしたことがある男性(ひと)なので、人種の肉体なのに百歳近くになっても大変に御元気で、屋敷に若い女性を連れ込んでは、朝まで騒ぎ宴をしている。どうしようもない御仁なのですよ。


 だからちくわの御主人を凝視していたらエヴァのお父様を思い出してしまうのですよ。



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