第64話 魔王様と勇者さま、日本で初の【牡蠣】を食べます! (1)
〈ブォーン──〉
〈ブォーン──〉
〈ブォーン──〉
「のう、どうじゃ? 殿は上手いであろう~?」
「ええ、そうですね、レヴィアの言う通りです。旦那さまって、本当にお上手ですね~」
「……えっ? あっ、そう?」
「は~い、エヴァは大変に満足ですよ。」
「そうか、それはよかった」
「それにしても、本当に電化製品と言う名の物は、本当に便利な道具ばかりですね」
「ん? あっ、ああ、そうだね……。これは熱風を出して、濡れた髪を乾かしてくれるから、良く考えると便利な機械だよね……」
まあ、今俺が使用しているドライヤーのことを便利な道具だと深く思案をしたことなどないのだが、
今我が家のエルフな奥さまとの会話の最中に告げられて、俺は思わず自身の膝を叩きたくなる衝動に駆られてしまったのだよ。と、思っている最中……。
実はね、俺達家族は、お風呂に入り今日の疲れをとり、さっぱりとしている最中なのだが。夫である俺だけは残業をしている最中なのだ。
う~ん、実はね、最初は、レヴィアに、「殿~。昔のように~。儂の濡れた髪を乾かしておくれ~」と、甘え声色でせがまれて始めた。奥様への奉仕の一環(?)……。
と、いうか? 毎日の奉公になりそうな、お風呂上がりの濡れた髪を乾かしているのだが。
う~ん、それにしても、家の魔王な奥さまは、良く過去のことを覚えていらっしゃる。
というか? 本当に良く覚えているのだよ。俺と初めて逢った日の出来事と、会話……。
俺に自分自身の初めてを捧げた日のことを、本当に関心をするぐらい良く覚えていらっしゃる。
だからレヴィアは、俺が未だ若い頃に理美容の見習いをしていたことを聞いたらしいのだ。
それもラブホテルのシャワー後に、俺がレヴィアの美しい漆黒の髪を乾かしながら教えてくれたらしいのだが。
まあ、傍から俺達家族のことを見ている皆も知っての通りで。俺は妻に記憶を消されているから。
その時の二人の淡い恋頃というものを俺は覚えていないのが残念……。
でも、先程レヴィアの髪を愛おしく、優しく触れながら。妻の髪がドライヤーの熱で痛まないように慎重に当てながら乾かしていた時の、俺の心の中でポカポカと暖かくなってきたから。
その時と同じ感情だったのではないかと、若い頃の俺も?
まあ、そう思うので。俺はそれで『よし!』と、することにする。
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