第61話 魔王さまと勇者さま、日本の宿に泊まるよ! (6)

 う~ん、でもさ、俺はね、その説明の最中──。


 自身の履いていたズボンやパンツを脱いでトイレの便座に座り。


 トイレシャワーの実演を奥さま達二人の面前で赤面しながら披露をしたのだよ。

 だから俺は正直恥ずかしかった。


『ううう……』と、嗚咽を漏らしそうなくらい。


 じゃ、傍から俺達夫婦の様子を見ている者達は、『そんなに恥ずかしいのならば、しなければいいのに?』と、思うかも知れない。


 と、いうか?


 俺は奥さま二人に、「えええっ! 嘘~! 説明だけではわからないから、『実演をしてみせろ』だって?」と、声を大にして叫びながら訊ねたのだよ。


「ああ~、宜しく頼むよ。殿~」


「はい、お願いします。旦那さま」


 でもね、二人はこんな感じでね、全く気にもしない素振りなのだよ。


 まあ、レヴィアは俺の娘を産んだと言っているぐらいだから。俺の産まれたままの姿を一度は見ているのだろうから気にはしないのはわかるよ。俺自身には妻と交わった記憶もないので何とも言えないのだが。先程から俺とレヴィアの様子を傍から見ればわかるように。あれ程女性に対して、意識をすれば話すこともままならない様子であった筈の俺が、レヴィア相手では、全く遠慮や気にもしない素振りで会話をしているところは、目に見えない夫婦の絆を感じる。


 だからレヴィアが俺の腹部の下にあるものが丸見え状態になろうが気にもしないで実演してみせろと申してくるのは理解できるところもある。


 でもエヴァは、どうやら未だ恥じらいある乙女さまのようなのだよ。妻の話しを聞けばね。なのにさ、我が家の可愛いエルフさまは、恥じらいある乙女さまの癖に。


「旦那さま~、早く~、下の衣服を脱いで、エヴァにトイレシャワーの使用の仕方を見せてください。お願いします~」


 エヴァは興味津々に俺に早くトイレシャワーの実演を見せろと急かしてくる。

 でもね、おじさん……。エルフの美少女さまに、ズボンをずりおろした容姿で、便座に座る姿を見られたくはない。


 でもさ、俺は、『エヴァだけ少しトイレから出ていてくれるかな? レヴィアに見せて教えておくから。後でレヴィアに訊ねて教えてもらってくれないかな?』と、我が家のエルフの美少女さまに他人行儀な言葉を告げる勇気がない。


 だって赤穂のショッピングモールの時でもそうなのだが。レヴィアと夫婦仲良く、どんな下着がいいかと会話をしながら選んでいると。


『旦那さまは先程からレヴィアとばかりと仲良くしています。エヴァのことを放置して……。エヴァは未だ旦那さまの新妻ではりますが。妻は妻なのですから。レヴィアと同じように扱ってください! わかりましたか? 旦那さま?』


 俺はエヴァに、こんな感じで何度か不満を告げられたので。勇者な奥さまが怖くて、俺は『エヴァ、トイレから出ていってくれる』と告げることができないから。


 自身の執着心が崩壊しようが、二人の前で『パッ!』とズボンとパンツを脱いでみせて──。


 そのまま便座に座り、スイッチを『プチン』と押す──。


 するとお湯が『ピュ~』と飛び出て、『ジュワ~』と、いった感じで終わる。


 そんな俺の情けない顔と様子を奥さま二人は。


「ほう~、殿これは凄いな~?」


「旦那さま、本当に水が『ピュ~』と飛び出るのですね? エヴァは関心をしました……」


 まあ、とにかく、我が家の奥さま達二人は、夫である俺の情けない様子を満足そうに見ながらこんな便利で清潔な物が、この世界にはあるのだと喜んでくれたから。俺自身も『よし!』と、思うことにしたよ。


 その他にもエヴァの場合は、この世界きたのが初めてになるからトイレシャワーだけではなく、水洗で流れるトイレに、トイレットペーパーと言う名の紙を使用して清潔にすることも大変に驚愕していたのだよ。


 特にトイレットペーパーに使用される紙は、エヴァやレヴィアの住んで居た世界では大変に貴重で高価な物だから、自身の目を大きく開けて驚愕していたのが印象的だったね。


 だってさ、エヴァの綺麗な碧眼の瞳が『クリクリ』と動くから本当に俺は、『萌萌キュン~!』に陥った。


 まあ、他にもさ、我が家のエルフさまは、部屋に置いてあったテレビに電動湯沸しポット──。


 特に上を『プシュ~』と押せば、お湯が出るから大変に驚愕──。


 それと何処にでも良くあるテンプレのお話の通りで。


 自身の指を使用して、テレビの電源を『ポチ』と、スイッチを入れる。


 するとテレビ画面に映る人を見て──。


「だ、旦那さま~! は、箱の中に、ひ、人が! 人がいます~!」と、声を大にして叫びながら大騒ぎもした。


 その様子がね、傍から見ていても本当にほのぼの~。俺自身エヴァのことが可愛くて仕方がなかったよ。


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