第56話 魔王さまと勇者さま、日本の宿に泊まるよ! (1)

「ん? あれ? 上島さん、嫁をもろうたん……?」


「えっ、いや、嫁をもらったというか……。帰ってきたと言うか……。どう説明したらいいですかね?」


 まあ、とにかく笑って誤魔化したよ。俺……。


 だって、いきなりさ、宿の女将さんに訊ねられたから、二人のことをどう説明をしたらよいのやら、悩めば悩む程、俺は困惑をする。


 だってさ、つい先日も宿の女将に、『はよう、上島さん、嫁を貰わんといけんよ』と、告げられた時に。


 俺は、『アッ、ハッハッハッ……』と、笑って誤魔化したばかりだから尚更どう説明をすればいいのか悩む。


「女将……。いつも、家の主人がお世話になっているようで。これからも宜しくお願いします」


 俺が宿の女将にどのように説明をすればよいかと思案をしていると。


 我が家の魔王な奥さまが、宿の女将にこんな感じで物静かに言葉を告げた。。


 すると、魔王な奥さまに続いて、勇者な奥さまが宿の女将に対して高らかな声色で告げるのだよ。こんな感じでね。


「本当にいつも、いつも、家の旦那さまがお世話になっているようで。これからも宜しくお願いします……」


 レヴィアは小さく女将に会釈──。


 それと対照的にエヴァはこのように女将に対して大きく会釈をするのだ。

 だから二人のことを凝視すると、本当に面白い。


 と、いうか? 飽きないなと、俺は思うのだよ。


 まあ、俺が二人の妻を見てこんなことを思っていると。


「いやいや、これはまた、御二人とも御丁寧に……。こちらこそ、今後とも宜しくお願いします……」


 宿の女将も我が家の奥さま二人につられるように、俺達家族へと会釈をしながら今後もお願いしますと告げてきた。


 でッ、その後は、我が家の奥さま二人のことを見て、少々驚いた顔をしながら。


「う~ん、それにしても、上島さんの奥さん二人は、本当にべっぴんさんやなぁ~」


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