第54話 魔王と勇者さま、日本で初の買い物をする (15)

 我が家の金色の毛並みをしたメスのライオンさま……。


 ではねいね。我が家の勇者さまは怪訝しい顔をしながら、我が家の魔王さまへと訊ねたのだよ。


 すると我が家の魔王さまは、エヴァへと。


「う~ん、以前、儂がこの世界にきた時にも少々困惑をしたのだが。日が暮れて辺りが暗くなっているにも関わらず、メスの一人歩きや二人、三人ぐらいで歩いているのが儂の目に映ったから、かなり困惑をした記憶がある……。その時は、儂やエヴァのように皆が、魔力が強くて武に自身があるのだな、と、思って儂は余り深く悩まなかったのだが……」


 と、エヴァに説明をしたところで、レヴィアは自身の唇を閉じ、俺の方へと視線を変えてきた。


 だから俺は、レヴィアはどうしたのだろうか? と、思った。


「まあ、その後儂は、主人と逢い。外敵になりそうな輩からは守ってもらったから、夜遅くても大丈夫であった……。でも、今日の殿はダメダメじゃ~。儂等二人を守ってくれようとはせぬ。いくらこのショッピングモールの店内が安全だとしてもじゃ~。殿にはわからぬかも知れぬが。儂等の住んで居る世界では、このようにメスが一人や二人……。子供だけ連れて街中など歩いていたら直ぐに連れ去られてしまう世界なのだよ。だからメスの一人や二人の買い物は、いくら店内だとしても危険が伴い。行方不明になる事が多々ある世界だから。必ずオスが自分自身の財産を守る為に、常にメスの横で見張り守っているような世界だから。殿みたいに放置されると本当に辛い……。だからエヴァが泣くのは当たり前なのだよ。殿……。いくらこの世界が平和な世界だとしてもちゃんと考慮して欲しい……。でないと? 殿と安堵しながら儂等は出かけることなどできない……」


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