第53話 魔王と勇者さま、日本で初の買い物をする (14)
もうこうなると、俺は何が何やらわからない。
家の奥さま達が泣き怒りするのが、何故なのか?
夫である俺には全く持ってわからないから更に困惑──。
そして動揺を続けながら。
「何故、二人は? そんなに俺に対して怒っているのだよ?」
俺はまた気落ちをした声色で二人の奥さまへと訊ねた。
「ん? もしかして? 殿は本当に、儂等二人が、何に対して怒りをあらわにしているのか、わからないのか?」
俺の動揺を隠せない表情をやっと悟ってくれたレヴィアに。「うん」と、俺は答えた。
すると家の魔王な奥さまは、このまま俺に話しかけてくるわけでもなく、急に沈黙……。
そして辺りを見渡し始めだした。自身の両腕を組み、顎に手を当てながら黙って注意深く。
その後少しばかり沈黙を続けると、また自身の艶やかな唇を開く。
「もしかして? この異世界日本は、儂等が住んで居る世界よりも、民が安息をして暮らせる世界なのかも知れん?」
家の魔王な奥さま、また何かしら、夫の俺が理解できず困惑をしそうな台詞を漏らす。
だからやはり俺は、レヴィアの話しを聞き困惑……。また何が何やらわからない状態に陥るのだ。
「(ヒック、ヒック、ヒック)どういうことですか、レヴィア?」
う~ん、可哀想に……。
家の可愛いエルフさまは、余りに泣きすぎて。泣き癖がついてしまったようだ。
だから我が家のエルフさまは泣き癖がついたままでレヴィアへと訊ねた。
「エヴァ~。儂は先程から、このショッピングモールへ入店してきた者達の様子を見て確認をしていたら、牝一人や子供連れだけで買い物をしている者達が多々いる事に気がついたのだよ。それに子供達だけで歩いている者達もいるようだが……」
我が家の魔王さまの話しを聞いた。我が家のエルフさまは。
「ん? レヴィアに言われてみたら確かにそうですね……。ついついと建物の中が余りにも煌びやかなので。そちらにばかり目が魅入ってしまい。一番大事な人の流れというものを見て確認をしていませんでした……」
と、レヴィアに言葉を返すと。我が家のエルフさまも泣くのをやめて辺りを注意深く見始めた。
う~ん、その様子がね。これまた困ったというか……。どう傍から見ている者達に説明をしたらいいのだろうか?
まあ、獲物を狙う雌豹──。
と、言ったらいいのだろうか?
まあ、我が家の勇者さまは少し呑気なところもあるようだから、狩りをする時のメスライオンとでも言ったらいいのだろうか? とにかく獲物を狙う、猫科メスのように鋭い眼光で辺りを見渡すのだよ。
だから通り縋りのおばちゃんやおじちゃん……。老若男女が少々困惑をした様子で、挙動不審なエヴァを凝視している。
だから俺は困ってしまって、『ワンワン』と、言いたいところなのだが。我が家のエルフさまがやっと泣き止んでくれたから。俺はそれだけでもいいと思うことにする。
まあ、俺が脳裏でこんなことを思案していると。我が家の可愛い奥さまは。
「う~ん、確かに、女性の一人歩きや小さ子供を女性一人だけで連れて歩いているのが目につきますね……。そんなことをして、この街は大丈夫なのでしょうか? レヴィア?」
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