第41話 魔王と勇者さま、日本で初の買い物をする (3)

 そして二人を抱き締めると、もう二度と、そんな殺伐とした世界へと帰還をさせたくないと思うのと?


 二度とあんな殺伐とした荒々しい生活など、夫である俺は二度と奥さま二人にさせはしないと心に強く誓い。二人が安息な日々を送れるように努めるよ。


 まあ、俺がこんなことを脳裏で思案をしていると。


「旦那さま~、エヴァは~。今晩から、旦那さまの胸に顔を埋め、甘えながら睡眠をとってもよろしいですか~?」


 相変わらず飽きることもなく、俺に甘えているエヴァが。俺を抱き枕にして甘えながら睡眠をとりたいのだと訊ねてきた。


「うん、別にかまわないよ。エヴァ~」


 エヴァの問いかけに対して俺は、優しく答える。


「そうですか~、旦那さま~。今晩からエヴァは、熟睡が出来そうです。本当にありがとうございます~」


 まあ、何がそんなに嬉しいのか? 我が家のエルフさまは、俺を抱き枕にすることで熟睡をして安眠ができるかから、嬉しいと告げてきた。


「そうか~? エヴァがそんなに喜ぶのなら、俺も心から嬉しいよ~。そして、よかった……」


 う~ん、今俺がエヴァに告げた通りだよ。我が家のエルフさまが、俺に女神の微笑みをくれると。


 俺は本当に嬉しくて仕方がない。


 それこそ? 俺自身は歓喜の声をあげ──。


『やったぁあああっ! やったぁあああっ!』


 と、叫びたい衝動に駆られそうになるのだよ。


 でもね、俺は、自身の心の中で『グッ!』と、耐え忍んで、二枚目を演じてみせた。少しでも我が家の奥さま二人にカッコイイ男だと思われたいからね。


「殿~?」


「ん? 何~?」


 我が家のエルフさまの女神の微笑みに俺が見惚れていると、レヴィアが声をかけてきたから答えた。


「殿~、宿への電話が終わったのならば。早く儂等二人を買い物に連れて行ってはくれぬかの~? 儂は異世界日本にいる殿に逢いにくる為に、異世界ゲートを開いたから、余り魔力が残っていないのだよ~。だから余り長時間の変身になると辛い……。特に自身の角と耳だけを隠すぐらいの変身魔法ならたいした魔力の消耗はないのだが。今は儂の衣服とエヴァの衣服の方も変化させているから正直辛い~。だから早く出かけよう。殿~?」


 う~ん、どうやら家の奥さまは、俺に、変身魔法を長く続けることは不可能だからと告げてきた。


 だから女性物の衣服や下着、靴などを早く購入しにいこうと告げてきたのだ。


 それも大変に辛そうに、自身の顔色を変えながら。


「だ、大丈夫かい、レヴィア? 本当に辛そうだね、ごめんよ」


 自身の顔色を変え辛そうにしているレヴィアに、俺は謝罪を告げると。


「じゃ~、二人とも、直ぐに出発をしようか~。ほら~、車に乗って~」


 まあ、こんな感じで俺は、大事な奥さま二人に、早く我が家の愛車の一つである営業仕様のハイエースへと乗り込むように急かした。


 そして三人揃って愛車に乗り込むと、俺の最初の目的通り、赤穂市のショッピングモールへと勇んで向かった。


 それも、俺は大変に嬉しそうにね。



 ◇◇◇◇◇

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