第35話 俺と魔王さんと勇者さん (19)
エヴァはここまで言いかけたところで一旦唇を閉じて俯き始めた。
そんな彼女の様子を見れば本当に幼少期の彼女は辛い目に遭っていたのだろうと予想がつく。
それこそ? 俺に告げることもできないような邪で淫らな行為を幼児期から義父に催促されて実行していたのだと思うと。エヴァの義父である男に対して怒りと憎しみが募る。
いくら元勇者さまであろうが、幼児に卑猥な行為をしたりさせたりするような愚かな変態男に対しては、一発鉄拳制裁を喰らわせてやりたい気分だ。
これも先程の話しではないが、レヴィアが異世界ゲートを開けば、人種の国へと行き──。
俺はエヴァの義父を探し出して殴ってやりたい衝動に駆られそうだ……というよりも絶対に一発喰らわしてやるつもりだ。
まあ、俺はこんなことを想いながら「エヴァ~、おいで~」と、優しく声かけ手招きをする。
その時の俺の表情は、お釈迦さまのように慈愛満ちた表情だったと思う。
「あ~い」
気落ちしながら下を俯いていたエヴァだが、俺の優しい声色での呼びかけと手招きに誘われ返事を返すと。またレヴィアの反対側へと抱きつき甘えてきたから、彼女の頭を優しく撫でながら告げた。
「辛い思いをしたのだね、エヴァは。これからは俺がいるから大丈夫だよ……」
「そうですか~。旦那さま~。エヴァを永遠に愛し可愛がってくださいね~」
〈チュ~〉
エヴァは俺に、自身を生涯優しく愛しみ可愛がってくれと要求を告げ終えると。自分から俺の唇へと唇を慣れた様子で重ね。深々と官能的に荒々しく俺の唇や舌に交わり絡めてきた。
俺はそんなエヴァの慣れた大人のキスを堪能し味わえば、彼女の幼少期からの悲惨な生い立ちが想像できたが、今後は気にしないようにすると心に決めたのだよ。
まあ、またこんなことを俺は思案しながらキスを堪能していると、エヴァの柔らかい唇が離れる。
「(ウフ~ン)旦那さま~。今のキスは、私のファーストキスですから~。ちゃんと責任をとってくださいね~。私は未だ生娘ですから~」
「えっ? うそ~?」
「うそ、ではございませんよ~。エヴァは未だ生娘ですから~。殿方を知りません~。それに産まれて初めてなのですよ~。殿方に告白をされたのは~。それもいきなり結婚をしてくれと、私が断ることもできないほど強引に責められたのも旦那さまが初めてなのですよ~」
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