第25話 俺と魔王さんと勇者さん (10)

 まあ、俺は取り敢えずこんな感じで勇者さんへと訊ねた。


 それにしても、『勇者』といった名字は変わっているな? と、俺自身思いながら。


「えっ? あっ、はい。そうですが~。もしかして? 旦那さまは、人種の住む国で暮らしているのに、エルフを見たことがないのですか?」


 俺の問いかけに勇者さんは困惑をした表情で言葉を返してきた。


「えっ? ないです……。僕の住んで居る日本には、多分? エルフと呼ばれる種族の人達などいないと思うのですが?」


 だから俺も直ぐにこんな感じで言葉を返した。


 この日本には、エルフと呼ばれる種族の人達などいないと。


「うん、可笑しいですね? 奴隷市場に行けば、かなりの数のエルフ女性が売られているとは思うのですが? う~ん、もしかすると? 旦那さまの住まわれている場所が、人里離れた田舎だから、奴隷市場などに行かれたことがないのかな?」


 すると今度は彼女、自身の両手を組み、思案を始めながら、俺へと訊ねてきたのだが。またその様子が可愛くてね。一応はオタクである俺だから、自身の部屋にリアルフィギュアとして飾って置くか。彼女を抱き枕にしながら、柔肌を堪能しながら睡眠をしてみたいなと、本気で思った。


 また俺自身そう思うと、自身の顔が緩むし鼻の下迄伸びてくる。


 でも、そんな俺の様子は、傍から見ても直ぐにわかると思う?


 だって直ぐに、「ゴホン!」と、空咳が一つ聞こえたのだよ。


 だから俺と勇者さんは、咳が聞こえた方へと視線を変える。二人揃ってね。


 すると俺達二人の目線の先には、魔王さんの姿が……だけならいいけれど? 俺はまた驚愕をして、声を大にして叫んでしまったこんな感じでね。


「ま、魔王さんも~。大きな笹耳が左右にある──。と、いうことは、エルフ⁉ ではない──。大きな角が二本もあるではないですかぁあああっ! 魔王さんはぁあああっ⁉」




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