第18話 俺と魔王さんと勇者さん (3)

 まあ、そんな彼女の不可解な行動を凝視しながら俺は、それにしても今時……と、いうか? この令和の時代に自動車のない国などこの世界にあるのだろうか? と、本気で思案をしてしまう。


 だってテレビの特番などでも普通にジャングルの密林や砂漠──。大草原などを四輪駆動車の車が走る様子を多々みているので、そんな国などあるのかな? と、思うし。白い甲冑を身に纏うお姉さんは何処の国に在住している女性ひとなのだろうか? と更に思案を続ける。



 ◇◇◇◇◇




(えぇ~と? 確か? この世界は? 車なる乗り物に生き物が轢かれ跳ねられ、潰れるようなことになったら、慰謝料というもの請求出来ると、以前殿から妾は教えられたような気がするから? 妾は殿に生涯養い尽くせと慰謝料請求をして、過去の妾の過ちを知らぬ顔をして許してもらうかのぅ~? まあ、それなら殿に過去の過ちもばれずに、妾は荒々しくお叱りを受けることもないかも知れぬ? と、いうことだから試してみるかのぅ~?)


 まあ、儂は、こんなことを思案しながら、「おい! 殿?」と、声をかける。


「…………」


 あら? 返事がない……と、いうか? 儂の殿には過去の記憶がないから殿と呼ぶだけ無駄だった。


 と、いうことだからのぅ~。儂はまた殿に、「おい! 男!」と、声をかけた。少々荒々しい口調で威厳を持って訊ねた。


 一応はこう見ても儂は亜人族の太后であり。その上、殿の自動車に轢かれた被害者なのだから気落ちをせずに堂々と接しなければ。


 まあ、そんなことを儂が思っていると。


「えっ? あ、あの何ですか?」


 今迄、儂達二人の敵である筈の勇者のことを興味津々に見ていた殿が。やっと儂の方へと視線を変えてくくれたから。儂は素直に嬉しい。


 と、いうことは? 儂の今の荒々しい声色は、家の殿があの女を見詰め続けることに対して、儂が嫉妬をしたのかも知れぬ?


 まあ、儂はこんなことを脳裏で想いながら。


「先程もお主に告げた通りで、儂と勇者はお主の自動車に轢かれてしまったようだから。儂はお主に対して損害賠償の慰謝料を請求しようと思うのだが? 別に構わぬよなぁ~? 特に儂は雌であるから、お主には生涯かけて尽くしてもらわねば困るぞ~。それで良いな~?」


 まあ、こんな感じで儂は殿の顔を上目遣いでチラチラと見ながら告げ訊ねた。


 できるだけ殿とは目をあわせないようにしながら。でないと? 余り殿と目を合わすと、儂の今の言葉を聞きながら、気落ち落胆を始めた殿が可哀想だと思い。事故の件は『別にもう良い! この度の件は許してしんぜよう』と、儂は殿に申してしまいそうだから目を合わせないようにした。


 儂が『もう良い!』と、殿に告げてしまえば。儂の思案をした策が功を奏しなくなる。


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