第17話 俺と魔王さんと勇者さん (2)
白い甲冑を身に纏うお姉さんの今の声と声色を聞く限りでは、俺を揶揄っている様子はない。
彼女の声色は、どうやら真剣な声色で俺に訊ねているように聞こえるのだよ。
だから俺はまたもや困惑──怪訝しい様子へと変わりながら白い甲冑を身に纏うお姉さんを凝視──。
「貴女の今目の前にある。その白い箱型した乗り物が自動車と言う物なのですが。本当に貴女は自動車を知らないのですか?」
まあ、こんな感じのことを疑心暗鬼になっている俺は、白い甲冑を身に纏うお姉さんへと訊ねたよ。もちろん怪訝しい表情をしながら。
でもね、白い甲冑を身に纏うお姉さんは、俺の怪訝しい様子など気にもしていない素振りというか? 相変わらず彼女の揶揄われているのでは? と、疑心暗鬼に陥っている俺に対して、相変わらず気にもしない素振りで、声を大にしながら叫ぶのだよ。こんな感じでね。
「えぇえええっ! うそぉおおおっ⁉ こ、この白い箱型の物体って、本当に乗り物なのですかぁあああっ⁉」
深く頭鎧を被る彼女だから、顔の様子はいまいちわからないのだが。白い甲冑を身に纏うお姉さんの声色からすると多分俺の所有するハイエースを見て確認をして驚愕をしたのだと思うのだが?
この白い箱型の物が乗り物なのか? と、訳解らない言葉を告げられても、俺自身も更に困惑──。動揺して疑心暗鬼になるだけなのだが。
まあ、俺はこんなことを思いながら彼女に、「あっ、はい。そうですが……」と、だけ言葉を返す。
すると白い甲冑を身に纏うお姉さんは、俺の所有するハイエースへと近づき、自身の顎にしなやかな指を当て、興味津々に眺め始め、「へぇ~そうなのですか~? これが乗り物なのですか~?」と、嘆息を漏らしながら凝視──。
まあ、凝視するだけならばいいのだが。
〈コン! コン!〉
彼女は空いている方の腕──。指を使用して、興味津々に俺の所持するハイエースのフロント部分を指で叩き始めた。
そして叩き始めると。
「えぇえええっ! うそぉおおおっ⁉ 貴方もしかして? これって? 乗り物自体が全部鋼でできているのですか~?」
またまた彼女は声を大にして叫び驚愕をしながら訊ねてきた。
その姿を見た俺は、どうやら白い甲冑を身に纏うお姉さんが俺に不快な思いをさせる為に騙し続けている様子ではないようなのだ。
だって先程から彼女のことを見て確認をしていたら。彼女が先程から俺に見せる不可解な行動と言葉はどうやら本当に驚愕し、慌てふためいているように見える。
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