第16話 俺と魔王さんと勇者さん (1)
「あ、あの~? 車とは何ですか?」
俺が角の生えた頭鎧を深く被る、黒い甲冑を身に纏うお姉さんと会話をして動揺をしていたら。
今度は白い甲冑を身に纏う女性が、動揺をしている俺に、こんな困惑をすることを訊ねてきたのだよ。
だから俺は「えっ?」と、驚嘆をもらし、更に動揺──。そして困惑をしながら。
「あ、あの~? もしかして? 貴女は自動車を知らないのですか?」
まあ、俺は取り敢えず、動揺を隠せない様子ではあるが、白い甲冑を着衣したお姉さんに、車のことを知らないのか? と、訊ねてみた。
でッ、その後俺が彼女を凝視しながら思ったことは。
もしかして? 白い甲冑を着衣している女性は、俺のことを揶揄っているのだろうか? と、思ったのだよ。
だって先程黒い甲冑を纏うお姉さんの方は、俺に車で撥ねられと、ハッキリと告げてきたのに、白い甲冑を身に纏うお姉さんの方は車を知らない? と、俺に告げてくるのは。俺のことを揶揄っているとしか思えない。
そうでなければ? 彼女は気が触れているのか?
先程俺の愛車と接触して頭部でも打ち──。彼女自身が記憶喪失になっているとしか思えない。
でもさ、俺が彼女の話しを聞き終えると。
「は、はい。私は自動車など知りません。初めて聞く言葉なのですが? 自動車とは一体何でしょうか?」
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