第14話 光る球体? (1)

〈ドッカァアアアアアアアアアン! ガシャアアアアアアアアアン!〉


 あああ、とうとう、やってしまったかも知れない……。じゃないね……。俺は車で何かしら跳ね飛ばしたと思う。


 そう、その何か? と申せば、多分? 光の中に黒い人影が二つ……。


 俺は慌てふためきながら車のブレーキを踏んで、急ブレーキをかけたのだが。俺の車には大きな衝撃音と揺れ──。


 そして俺の身体には大きな衝撃の揺れが感じられた。


 と、いうことだから。先程も告げた通りで、俺の急ブレーキは間に合わなかったみたいで人を愛車で撥ねた。


 それも二人の人物をね……。


 だって俺は見たのだ。光の中に人影があるのを。


 それも俺が何度も悲痛な言葉を漏らしている通りで、二人も人影が見えた。


 また人影が見えたと思ったら、『ドカァアアアン!』と、衝撃と音が響いてきたのだ。


 だからこの後俺は、自分自身がどうしたらよいのか脳裏で思案しても、中々意見が纏まらないから途方に暮れる。


 まあ、途方に暮れるだけならいいが、時間が経てば経つほど、自身の心の中で罪悪感と恐怖とが募り、身体が震え始めた。


 そして、その後は後悔……。


 何故? 俺は隣街まで、勇んで買い物に出かけようとしたのだろうか? と、後悔ばかりを募らせ愚痴を漏らすのだよ。こんな感じでね。


「ううう……。何で俺は、漫画本など欲しいと先程思って購入をするために出かけたのだろうか……。買い物などしに出かけなければ、こんな大変な惨事……。車での人身事故などしないで俺は済んだのに……」


 まあ、とにかく俺は、後悔の言葉を漏らしたのだよ。それと自分自身に『馬鹿者! 馬鹿者!』と不満の言葉も何度も言った。


 だって俺が赤穂のショッピングモール迄買い物に行ってみるか? と、思わずに。真っ直ぐに宿に戻っていればこんな参事は怒らなかった訳だから、何度悔やんでも悔やみきれない。


 う~ん、でもさ、言い訳をするつもりはないのだが。この度の車の人身事故は。俺だけの責任でもない気がする。


 だって俺が今緊急停車をしている場所は、岡山県と兵庫県との県境にある道路でね。上りと下りが長く続く道で、確かに車の速度も上がりやすい道路なのは確かなのだが。俺は車の速度も制限速度で走行していた。


 それに脇見運転などもしていない。


 だから急に湧いた大きな光の球体に対処できて、急ブレーキではあるが停まることができたのだよ。


 う~ん、でもさ、いくら急な出来事に対して対処ができたとしても、自身の所有する車で、人様を跳ね飛ばしたのは事実な訳だから。言い訳ばかりをしたらダメだよ。俺自身……。


 先ずは即急に車外へと出て、被害者の人達を確認して、心から謝罪をしなければいけないよ。


 でッ、その後は、自身の持つスマートフォンから至急救急車と警察を呼ばないといけない。


 わかった? 俺自身?


 まあ、こんな感じで俺は、自分自身に言い聞かせると、慌てふためきながら自身の愛車のドア開け飛び出すのだよ。自身の心の中で何度も『頼むから、俺が車で跳ねた人達……。無事でいてくれよ。お願いだから……』と、願い込めて叫びながら、車の前方へと俺は移動をした。



 ◇◇◇◇◇



「うっ、痛、痛たたた……」


「ッ……。痛い……」


 俺は慌てふためきながら車から降り、愛車の前方へと移動──。


 すると俺の目の前には、二人──。


 それも多分声色からして女性だと思われる人達の姿があったのだよ。


 それもさ、彼女達には大変に失礼になるかも知れないが。彼女達は一風変わった容姿をした御二人なのだ。


 だから俺は、もしかしかして?映画やドラマ、特撮ヒーロー番組などの撮影? 若しくは?テレビ番組の特番などで良く観覧するイタズラ番組などの部類に入る撮影なのかも知れない? と、直ぐに思ったのだよ。


 まあ、そういった撮影ならば、俺自身もSF映画に出てくるようなあの巨大な光の玉と。俺の目の前で座り込んで、悲痛な声を漏らしている二人の女性が、一風変わった容姿をしていることに対して俺自身も納得ができる。



 それと二人の女性の容姿を見て確認をした俺が最初に思ったことは不謹慎にも、『本当に二人の容姿は凄いやぁ~』と、心の中で囁いたことだ。


 だって二人の女性の容姿が、本当に映画やドラマ、イタズラテレビなどの撮影でもない限り、普通の人では着衣することすら出来ないスタイルなのだ。


 あっ? そう言えば? コスプレが好きな方なら着衣ができるかも知れない?

 まあ、そんな感じの容姿なのだ。二人のお姉さんの容姿はね。だって二人揃って中世の時代のような甲冑──。


 それも煌びやかな宝石等の装飾を施した大変に派手な甲冑を着衣した女性なのだよ。二人共──。


 その上面白いことに二人の着衣している甲冑の色合いが対照的な、白と黒というのも面白い。


 でも、まあ、あれだよ?


 このまま御二人の女性を無視して放置する訳にはいかない。


 だから御二人に声をかけてみることにする。


 だって俺自身未だ車で、事故を起こしたのか? 起こしていないのか? ハッキリとわかっていない。と、俺自身が思うぐらい。俺の目の前で座り込む御二人の女性は、お元気そうなのだよ。


 だから俺は、狐につままれているのでは? と、思うぐらい困惑をしている。



 ◇◇◇◇◇



「あっ、あの、お二人は、座り込んでいるようですが、大丈夫ですか?」


「あああ、少し痛いが大丈夫のようじゃ~」


「ッ、いっ、痛たた……。私の方も大丈夫ですよ」


 ……ん? あっ、あれ? やはり御二人揃って、痛いと俺に告げてきた。


 と、いうことは? やはり俺は女性二人を車で轢き、撥ね飛ばしたみたいだ。


 うう、やっ、やばい。どうしようか?


 またまた俺の心の中に動揺が走った。


 でも、先程から何度も自分自身に俺は言い聞かせているように。


 いくら俺自身が動揺をしても何も始まらない。


 先ずは二人に、俺なりの誠意を見せて謝罪──。


 相手は女性なので許してもらえるだろうか?


 まあ、その後は金銭的なことになると思われる。


 だから保険会社と警察に連絡を入れて……。


 や、やばい~。じ、人身事故は免許停止だっけ?


 それとも免許取り消し?





 まあ、最後はこんな不謹慎なことを俺はまた思案をしてしまったよ。本当に往生際が悪いというか? 本当にどうしようもない奴だと自分自身のことを蔑視したくなる。


 う~ん、あれ? ちょっと待てよ? お姉さま達二人の様子……。


 俺に車に跳ね飛ばされたわりにはかなり平気そうなのかな?


 確かにその場に尻餅ついて座り込んではいるのだが、俺が傍から見ても平気そうなのだ。


 お姉さま達二人は……。


 確かに二人の口から『痛い』と、言葉は漏れてはいるが。俺の車の勢いに驚愕して尻餅をついて痛いだけかも知れない?


 と、いうことはないか……。


 まあ、取り敢えず今度こそ、御二人に訊ねてみることにするよ。俺が車で跳ね飛ばしたのか? とね。


「あっ、あの~、お二人に少々お尋ねしますが?」


 俺はこんな感じでお姉さま達二人に恐る恐ると訊ねてみた。


「ん? なんじゃ~?」


「はい、何でしょうか?」


 直ぐにお姉さま達二人から返事が返ってきた。


「あ、あの~、もしかして? 御二人は僕の車に跳ね飛ばされましたか?」


 俺はお姉さま達二人に対して、先程と一緒で、恐る恐ると声をかけ訊ねてみた。


 頼むからお姉さま達二人が俺の車に当たっていないようにと、嘆願しながら訊ねた。


 すると大きな二つの角がついた頭鎧を被る、黒い甲冑を着衣した女性の方が。


「えっ? あっ、うん……。儂はお主の車に撥ねられた……」


 と、俺に告げてきたのだよ。


 だから俺は『ガ~ン! ショック!』自身の頭の中をハンマーで殴られたような感じに陥るのだよ。


 まあ、そういうことなので、やはり俺は大変なことをしたみたいだ。


 それも二人の女性の声からして、若い女性だと思われるから。


 これから本当にどうしたらよいのか?


 俺はまた途方に暮れるのだった。



 ◇◇◇◇◇

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