第20話 2人の約束
「やるな、ラーク。今度はこっちから行くぜ!」
リュードは全身の闘気を両腕に凝縮し、腕を胸の前で交差させ、ラークに向かって両腕に溜めた闘気を一気に放出させた!
「オーラ・バトルクロス・キャノン!!」
リュードの両腕から放たれた青緑色の闘気は鋭い螺旋状に回転した矢の形となってラークに襲い掛かる。
「オラァ!!」
ラークはリュードの放った闘気を槍斧で受け止めるが、さすがにそのまま受ければ槍斧は粉々に砕けてしまう。
ラークも自分の蒼白色の闘気を槍斧に送り込んで保護し、リュードの攻撃を受け止めるが、ドリルの如く螺旋状に回転した闘気を防ぐのは容易ではない!
「くっ・・」
ラークは岩山の岩壁まで押されていき、上からは衝撃で砕けた石がバラバラと降ってくる。
しかし、リュードの追撃は止まらない。
「昇り竜(のぼりりゅう)!」
膝を闘気で覆ったリュードの跳び膝蹴りがラークに襲い掛かってきた。
ドガァン!!
「うほぁ・・・」
槍斧でガードしたものの、リュードの跳び膝蹴りは槍斧ごとラークの顔面に直撃!
ラークは岩山に大きな穴を開けて叩きつけられた。
「はぁ・・はぁ・・」
一度膝をついてダウンしたラークだが、立ち上がる。リュードの膝蹴りを受け、鼻から出血をしていた・・。
まだやるというのか!?
「まだまだ・・もう少しやろうぜッ・・!!」
槍斧を右腕一本で振り上げ、リュードに振りかぶっていくラーク。
「・・・!」
リュードは剣でラークの攻撃を受け止めたいが、剣は先ほどラークの空破特攻弾によって弾き飛ばされてしまい、少し離れた地面に突き刺さったままだ。取りに行くには間に合わない!
「ハアアア・・!」
とっさにリュードは闘気を両手に集める。闘気を纏った両腕で受け止める気のようだ
―――――しかし、
突然ラークの動きが止まり、目の前のリュードには一瞬時間が止まったように見えた。
ラークは姿勢を地面へと低く持っていき、
「草刈り疾刀蹴(くさかりしっとうしゅう)!」
「なにっ!?」
ラークはフェイントを使い、足払いでリュードを地面へと転倒させた。
「ハァ!」
ラークは槍斧を振り上げ、今度こそ!と言わんばかりの渾身の一撃を振り下ろした!
ガキーーーーン!
しかし、ラークの一撃はリュードには当たらなかった・・
リュードの右手には闘気で作り出された光り輝く剣が握られており、間一髪ラークの攻撃を防いでいたのだ。
「・・・・・ハァ・・ハァ・・フラッシュブレードか」
ラークもそのリュードの技を知っているらしく、静かにその技を口にした。
「・・・ああ。久々に全力で闘った気分はどうだ?気が済んだか?」
リュードはゆっくりと起き上がる。
「ハァ・・ハァ・・」
ラークは激しい激闘に息が上がっており、汗もビッショリだった。
「ハァ・・ハァ・・やっぱり、常に闘っていねぇとお前に攻撃は当たらねぇな・・ハハ」
ラークは清々しい笑みを浮かべている。
「いや、いつだって紙一重だよ。お前と闘って安心した、腕そのものが衰えているわけじゃなかったみたいだ」
リュードはかつての仲間の強さに安堵の表情を浮かべる。
「リュード、ありがとな。かなりスッキリしたぜ」
二人は固い握手を交わし、闘いは無事に終わりを告げた・・・。
山岳地帯の丘へと上がる二人。激しい闘いの末、西の空は茜色の夕日に染まっていて、二人は丘に腰を下ろす。
「なぁリュード。お前さっき、航宙艦技師の資格を取ることが、俺の本当にやりたいことなのかって聞いたよな?」
「ああ」
「俺さ、お前と闘ってハッキリしたぜ。やっぱり俺は、航宙艦技師の資格を取るよ」
ラークは技師の資格を取るために頑張るという。
「でも勘違いすんなよ?技師になることはあくまで通過点だ。俺、他になりたいものがあってよ、アイツと二人で約束したんだよ」
ラークは将来を約束した女性との間に交わした大きな夢があるそうだ。
一体どんな夢だろうか?
「俺たちがアスガルドへ行って、まず最初に俺たちが最初に触れたのが、あの星の『魔科学』だ」
魔科学とは、惑星のマナを利用して営まれた現在の地球を遥かに凌ぐ科学力を持った夢のような科学技術だ。不治の病の治療や、水のように透き通った美しい街並み、超高層ビルを一瞬にして移動できる空間移動装置や、更には人の記憶をスキャンし、過去の世界へと移動できる技術など、現代人が想像している未来技術の詰まった惑星、それが『アスガルド』だ。
「あの科学に触れたとき、俺もアイツも胸膨らませるように感動しちまってな。ロボットに乗って宇宙を旅したこともあったよな。いつか俺たちも、何かそういうでけぇことしたいなって話してな、『そうだ、俺が今度お前を迎えに行くから、一緒に宇宙を旅しねぇか?』って話になってな、アイツもテンション上がって意気投合ってやつだ」
「そうだったのか・・・それは初耳だな」
ラークと将来を誓い合った二人の夢は、自分達の宇宙を旅する船を持ち、二人で広大な宇宙を冒険することだったのだ。
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