第18話 何かを置き忘れた?忘れてる?
リュードはラークからスターズに対しての感想を聞けたことにはとりあえず満足の様子だ。
だが、今のリュードはそれ以上にかつて一緒に闘った彼の変わりようを案じていた。
リュードは思い切ってそのことに触れることにした。
「ラーク、お前少し根詰めて勉強しすぎじゃないか?たまには息抜きしてるのか?」
「息抜き?今は息抜きしてる暇なんてねぇよ。アイツと3年って約束したんだぜ?死に物狂いで勉強してさっさとココ(地球)出ねぇと間に合わねぇって」
『さっさとココを出る』・・・まるで地球人である自分を捨てるかのような言い方にも見て取れる。
ラークは将来を約束した女性と3年以内に必ず迎えに行くと約束していたのだ。
必死になるラークの気持ちも分からなくはない。だが、久しぶりに会ったリュードの目には、どこかラークが大切なことを忘れてしまっているような気がしてならない。
「確かに彼女を迎えに行くには航宙艦技師の資格を取って、宇宙で仕事が出来る職が良いのかもしれないよ。でも、俺にはお前が本当にその仕事をやりたくて目指してるのかが疑問なんだよ」
「何だと・・?余計なお世話だ」
ラークの顔つきが徐々に険しくなる。
「それだけじゃないよ、最初に玄関で会った時もそっけなかったし、俺とお前が会うのだって半年ぶりなのに、お茶の一つだって出さない・・こんなこと言いたくないけど。ラークの家に来るまでのここの村の方達の方がよっぽど友好的だったよ・・」
「・・・何が言いたいんだ?喧嘩売りに来たのかお前?俺が間違ってるっていうのか!?」
「間違ってないよ。間違ってはいないと思うけど、なんていうか、俺たちと一緒に旅してた時と比べて、覇気がなくなったっていうか・・・。俺の知ってるラークは、もっとやんちゃで、いつも明るくて、みんなが辛い時でもメンバーを和ませてくれる奴・・・そんな仲間だったから・・・確かに勉強頑張ってるのは良いことだよ。学科の試験に合格するなんて、大したものだよ。・・・でも、今のお前を見てると、何か他の大事なものをあっさり切り捨ててでも目的をただ果たそうとしてるようにしか見えないんだ。彼女との約束を果たすって、そういうことじゃないんじゃないのか?・・・今のお前を見て、彼女はどう思うか・・・」
「・・・・・」
「彼女が好きになったのは、あの頃みたいなパワフルで、元気ハツラツで、真っすぐな漢・・・お前のことだったんだよ・・・」
「リュード・・・」
ラークはうつむき一点を見つめたまま動かなくなる。かつての自分を思い出しているのだろうか?
「すまん、色々言いすぎたな。まぁ俺も武術大会で世界一になるって言って、何にもレイミとの約束を果たせてないから偉そうなことは言えないけど・・・でも、彼女のことを本気で想うなら、それこそ捨てちゃいけないもの、忘れちゃいけないものがあるんじゃないのかなって、俺は思うんだ・・・。俺が言いたかったのはそれだけだよ。・・・じゃあ、俺帰るよ。邪魔して悪かったね」
持ってきたDVDを手に、リュードも少しうつむぎがちにラークの家を出ていく・・・
リュードがラークの家を出て行き、一人となったラークのいるリビングは、シーンと静まり返っていた・・・。
どうなる?ラークの今後の人生・・・
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