『時間』
「ああもう!」って投げ出せたらどれだけいいものだろうか。
真っ白な原稿に活字を詰め込む作業がさっきから終わらない。
朝の12時からひたすらに原稿用紙に向かって生産的に文字をたたき込んでいたけれど、時間だけが減っていく。
ストップウォッチアプリを起動させていたところ、就労時間の8時間を有に超えてマイナス表示に代わっていた。
規定の色を変えてオーバー数値である赤い色に変わった円グラフがマイナス表示で時間を増やしている。発狂しそうだった。
「時間ってさ、どうしてこうも減っていくんだろうねぇ?1日が30時間だったらさぁ、もうちょっと遊べるのに。」
原稿用紙にめり込んでいたペンの先を放り投げて、ついには愚痴を吐く。
time is moneyとはよく言ったものだ。時間に見合った金なんて貰った試しがない。
金を払う側の人間との折り合いがついたことなんてない。
「時間は生産的なものの筈なんだけどね。」
ほら見たことか。後ろで私の原稿を待っているこの編集者が口を付く。
「時間は消費した分だけ、何かを生産するものなのだよ」
(20150307)
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