第1話 2.

なるほど、そういうことか…。最近なんだか学園内の雰囲気が浮き足立っていると思っていた。


「なんとなくわかったけど、そのハロウィンパーティでは何をするの?」

「んー、さっぱりわかんないよね、これが」


わからないときた…。そもそも噂ごときで参加、不参加を決めるべきではない。開催されるかすらわからないのに…。


「うちの校長も向こうの校長も変わってるし、普通のパーティを想像してたら良い意味でも悪い意味でも裏切られるのがオチじゃないかなぁ」


「…たしかに」


確かにこれには私も頷ける。校長は気さくで良い人だが、とにかくおもしろいことが好きだ。


年齢不詳ではあるが、ノリが若いし、色恋ものの話題には食いついてくる傾向がある。


ただ、時折見せる表情に長年生きた哀愁を漂わせることがある。実際、軽くよわい200くらいいっているのではないかと思っている。


「ま、明日の集会に乞うご期待」

「はは、そうだね」


***


「みなさん!聞いて下さい!なんと、今年からお隣パルステント学園と合同でハロウィンパーティを開催することが決定致しました」


やはり来たか。待ってましたとばかりに周りが騒ぎ始める。


「やっぱりこの話だね」

「うん、そうだね」


にやりとするベリーに控えめに返事をする。あんまり騒ぐとお叱りの言葉が飛ぶのだ。


「しっ、静かに」


校長がビシッと言うと会場は水を打ったかのように静かになった。さすが、校長の権力は絶対だ。


「開催理由は、どちらも由緒ある学校である、パルステント学園とルーデルシャス学園が交流し、今後の魔法界の将来も含め仲を深めて頂きたいという理由です。


後で詳細は各クラスの方でお伝えして頂きますが、おおまかな内容としては、仮装パーティ並びにコンテスト、お食事、ダンスパーティー、自由時間といった運びになります。


この機会に将来有望な方を捕まえるのも自由ですよ。それではみなさん、今日も元気にゆきましょう。ルーデルシャス!」


「ルーデルシャス!」


そうそう、言い忘れていたが、この"ルールシャス"とは宴会用の魔法のことばであり、この学校では主に挨拶や合言葉として用いられる。


校長は話の最後に必ずこの言葉をとなえ、私たちはそれを復唱するのがしきたりだ。


「ふふ、で、参加は?」

「もちろんYES」

「そうこなくっちゃ」


2人は楽しそうにハイタッチをした。

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