ハロウィンナイト
氷菓
第1話 1. ハロウィンパーティ?
「楓ー!」
「きゃー!楓様ー!!!」
「今日もイケメンですぅぅ!!」
私は楓。
この通り、女子にモテモテの女子だ。今は魔法科学の授業中。まあただの薬調合をしただけなのだが、この様である。自分には人を惹きつけるなにかがあるのかもしれない。
「あんた不思議そうな顔してるけど、なんていうかさ、あれじゃない? 魔法を使う時の手のこなしがしなやかでかっこいいんだよね」
よほど顔に出ていたのだろうか、友達のベリーに説明される。
ベリーは私が学園内で唯一心を許している存在で、割と腹を割って話せるところが好きだ。彼女は良いことでも悪いことでもズバズバと言うから気を遣わなくて楽に付き合える。
ついでに言えば、恥ずかしいことでもサラッと何の気なしに言うから、時々対応に困るが…。さっきの発言だって慣れてきたものの、少しはずかしい。
まあ、何はともあれ現状、ベリーは私にとって最高の親友であるのだ。
***
季節は秋。街路樹もぱらぱらと黄色や紅に色づき始め、落ち葉が風に吹かれてカサカサと音をたてるようになってきた。
日没も早まり、街灯がぽつぽつとつき始める頃、やや夏気分の薄着にゆるやかな寒さが少しつき刺さる。
「ところで楓、ハロウィンパーティは参加する?」
「ハロウィンパーティ?」
「なんだ、知らないの?」
ベリーに突然聞かれ、困惑する。ハロウィンパーティの意味はわかるが、"参加"とはどういうことなのだろう。
「巷じゃ有名だよ。学園内は今はその話で持ちきりだってのに。ま、まだ校長から正式な発表があったわけじゃないけど。噂ってのは秒速で漏れるもんだよね」
「いや、話についていけないんだけど…」
はは といった様子であっけらかんに話すベリーに、あらゆる情報に疎い私は改めて困惑する。
「まーまー、聞きなさいよ。今年からお隣のパルステント魔法学園(男子校)とうちの学校、ルーデルシャス魔法学園(女子校)が共同でハロウィンパーティを開催するってわけよ」
ベリーはおもしろそうにそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます