第一章 出会い
第一話 森のなか
「これで全部か。」
少年は剣をしまうと、辺りを見渡すと狼が十数匹。
よくこんだけ殺したわ。
せっかくの美しい森なのに、辺り一面が赤にそまっている。
自分でやっていてあれだが、あんまし気分がよくねぇな。
「休んでいいぞ。
体長およそ20センチの精霊が現れる。
金色の髪をなびかせる彼女は、疲れた表情を見せる。
『はぁ〜。
「いつもありがとね。あとで、美味しいものたべにいこう。」
『ほんとに?!やったー、リヒト大好き!!』
「現金なやつだな。」
俺は苦笑する。
まあ、今日の敵は数が多くて大変だったし、うまいもん食わしてやるか。
「さて戻りますか。」
早く休みてなぁ。
少年か後ろ振り向いた瞬間、
「危ない!!」
少年の頬をシュッと音をたて、炎をまとった剣が飛ぶ。
「ギャッ!!!」
少年が驚き後ろを振り向く。
少年を襲おうとしていた、狼が絶命していた。
あっぶねぇ。
もう少しで死んじまうところだった。
『なに?まだいたの?たすかった……わ。』
「助けてくれてありがとうよ。あんたは命の恩じ……!!」
剣が飛んできたほうをみると、一人の少女が立っていた。
美しい。
燃えるように紅い髪は一つに結ばれ、風になびき、こちらを見つめる右目は紅く、左目は闇よりもさらに黒い黒。
俺たちがその美しさに見とれていると彼女の口が開く。
「大丈夫なようね。それじゃ……」
立ち去ろうとする少女に俺は慌てて声をかける。
「待って。お礼をさせてくれ!」
命の恩人をただで返すわけにはいかない。なにかお礼をしなければ。
彼女は困った表情を見せる。
「気にしないで。これもただの偶然だから。じゃあね。」
「いやいや、助けられたお礼に何かおごるよ。これも何かの運命だと思ってさ、ね!」
『そうよ!あなたは私たちの恩人なんだから。』
ほとんど強引だったが、相手も諦めたらしい。
「じゃあ、少しだけ。」
「よしきた。俺のいきつけのみせ紹介するよ。めっちゃうまいから!!」
『やったー!今日はいっぱいたべよ!リヒトのおごりだしね!!』
「おい、お前は少し遠慮しろよ。」
仕方ないか。でもシュテルはほんとにいっぱい食うからな。
俺たちの明るさにつられたのか、彼女もフッと笑みをこぼす。
「ありがとう。」
ずっと真顔だった彼女が見せた笑み。
不覚にもドキッとしてしまう。
オイオイ、かわいいな。
少年と少女、そして一匹は森をあとにする。
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