スイッチ(2)
朝起きると巨大なスイッチが部屋の中央に置かれていた。おととい、おかしなスイッチを撤去したばかりだというのに、またしてもやられた。
そのスイッチはやはりマリオブラザーズのビックリブロックそっくりで、今度はビニール製であった。電源を入れるコードは見当たらなかった、電池式なのだろう。
僕は今回は泣かないと決めていた。あの不気味なスイッチも電源さえ入れなければ怪しい動作を起こさないのだ、しかし今度は電池式である、電源をオフにしなければならないのだ。それを考えていたら、やはりかなりの時間が経過してしまった。忙しいのにこのスイッチを置いた人間は僕をわなにはめようとしているのだ。そう思うと悔しくて身震いがするようで、しばらくの間、僕はスイッチを睨みつけていた。
しばらくすると触れてもいないのにそのスイッチからファンファーレが鳴り出した、「おめでとうございます!このスイッチを押すともれなく五千兆円がもらえます!」
スイッチは淡く光りながら、アナウンスのようなものをずっと垂れ流していた。
民放の女子アナみたいな声だ。そんなことを思いながら僕はそのスイッチを思いっきり殴った。そうするとギギギ、ガーガーガーと変な音を立ててそのスイッチは壊れてしまった。2度寝したいのに何を言っているのだ。僕はやっと憤りから冷静を取り戻し、また布団にもぐりこんだ。
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