君は誰

五月雨の降る僕のまだ寒い町で彼女を見つけた。


誰だ。


会った覚えがある、でもそれから記憶が融合できない。


僕が彼女を追いかけると、彼女の足取りは早くなった。


つけられていると気づいたのか。


そうして距離が縮まり彼女は振り返った。


「やめて!誰なの!」


こっちが聞きたい。お前はどこの誰だ。


それを聞こうと思って追いかけたのにあてがはずれた。


女は小走りに逃げてアパートの一室に逃げ込んでしまった。


悲鳴を上げられなくなくてよかったかもしれない。


そうして自室への帰り際、思い出していた。


そうだ、あの女と昨日のコンビニですれ違ったことを。

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