チチミちゃん
最近リョウタロウの様子がすこぶる良い。
そういう時は大抵嫌な予感しか浮かばないので、ソウヤは無視を決め込む事にした。
…が、やっぱり見つかってしまった。
「ソウヤー!」
「…彼女でも出来たのか」
「ピンポーン!ほらこの子」
リョウタロウが大事そうに抱えているのは小さいパックの牛乳だった。
「ウシチチのチチミちゃん!」
「………」
ソウヤはもう何も言う気力もない。
そしてしばらくの間が空いて一言。
「消耗品を恋人にしてどうする…」
しかし何かを思いついたようで、リョウタロウの牛乳を奪い一気飲みした。
「あー!俺のチチミちゃんがぁ!」
「勝ったな」
「でも良いもん!チチミちゃんは何度でも蘇るから!」
そう言ってリョウタロウは懐からまた小さいパックの牛乳を取り出した。
「でも母さんに言われたんだよなー、1日1チチミちゃんにしなさいって」
「1チチミってなんだよ!」
「大人買いしたから賞味期限きれるまでに飲み干せるかな?」
「恋人を飲み干す気か!」
もうツッコミがついていけない。
「良いか?もう俺を巻き込むなよ?」
「また新しい恋人が出来たら教えるな!」
「人の話を聞けー!」
ソウヤの叫びも虚しく空へと消えたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます