第4話 アナ


「ソウヤァー!」


俺は今泣いている。


モーレツに泣いている。


「…んだよ」


「ウーちゃんと別れたぁ!」


そう、俺はウーちゃんと泣く泣く別れたのだ。


「売ったのか?」


「ちっげーよ!天に召されたんだよ!」


「あー、そりゃご愁傷さまで」


もうあのつぶらな瞳とは会えない。


悲しい。


だけど俺はこんなことじゃめげない。


「でも新しい彼女出来た!」


「良かったな」


なんと、すぐに彼女が出来たのだ。


「今日は連れてきたんだぜ」


「いねーじゃん」


「いるってほら、ここに!」


「どこに」


「肩にいるだろ?アナちゃんって言うんだ!」


今度の彼女はイグアナのアナちゃん。


ウーちゃんとの別れに落ち込んでたところ、運命的な出逢いを果たした。


「あ、擬態化してるからわかんねぇか。アナちゃん、姿をお見せ」


「見せなくて良い!つか俺の半径5メートル以内に入ってくんな!!気持ちわりぃ!」


ソウヤは爬虫類のたぐいダメだったっけ。


「可愛いのに。毎日チュッチュしてくるんだぜ?情熱的だろ?」


「うわぁ…」


明らかに引いた顔すんなよなー。


そりゃマリモのマリコちゃんは真ん丸で大人しくて、ウーパールーパーのウーちゃんは可愛らしくて今度のイグアナ、アナちゃんは情熱的でタイプは違うけどよ?


3人とも愛しい存在なのには変わりはない。


「あ、ヒロ!見ろよ俺の彼女!」


「学校に爬虫類連れてくんなど阿呆!」


なんだ、皆して嫉妬か?


「もしアナちゃんと別れたらヒロ、お前を彼氏にしてやるよ!」


「ふざけんなこの節操なし!」


…殴られた。


でも良いんだ、アナちゃんが慰めてくれるから。


愛してるぜ!


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