〈投球〉

ワインドアップとセットポジション


※解説は間違っている可能性があります。あらかじめ、ご了承ください。


※長い説明が必要ない方は、最後の「●まとめ」の部分まで進んでください。



●正規の投球姿勢

 正規の投球姿勢には「ワインドアップ(ワインドアップポジション)」と「セットポジション(セットアップポジション)」の2つがある。


 ピッチャーは、どちらかの姿勢で投げる事になる。どちらの場合も、軸足はプレート(投手板)に触れさせないといけない。


※利き腕側の足=軸足

※利き腕側じゃない方の足=自由な足


「振りかぶる事」を「ワインドアップ」と呼ぶ事もあるが、ワインドアップで投げるピッチャーが振りかぶるとは限らない。

(セットポジションで投げる時に振りかぶる事もある)


※ここでは「ワインドアップ=ワインドアップポジション」として解説


 ワインドアップとセットポジションは、ピッチャーによって細かい部分は違うが、だいたい以下のような流れになる。腕の使い方は個人差が大きいので省略。



●ワインドアップの大まかな流れ

(1)体の正面(=胸やお腹)がホームベース側に向くように立つ。軸足はプレートを踏まないといけないが、自由な足はどこに置いてもOK。


※両足でプレートを踏んでいる場合、プレートから足を外す時は軸足から外す。


※投球動作に入る時、体の前(=胸やお腹などの前)でボールを両手(=利き手とグローブ)で持ったら投球しないといけない。


(2)自由な足を後ろ(=二塁側)に引く。振りかぶるピッチャーは「足を引くのと同時」か「足を引いた後」に振りかぶる。

(足を引くのは必須動作ではないが、ほとんどのピッチャーは足を引く)


(3)ホームベースを向いていた軸足の爪先を、右ピッチャーは三塁側/左ピッチャーは一塁側を向くようにする。

(軸足をプレートと並行にする。この動作も、ルール上は必須ではない)


(4)自由な足を上げて軸足1本で立つ。


(5)自由な足でホームベース側に踏み出す。爪先はホームベースを向く。


(6)ボールを投げる。



●セットポジションの大まかな流れ

(1)体の側面(利き腕じゃない方)がホームベース側に向くように立つ。軸足でプレートを踏み、自由な足はプレートの前(=ホームベース側)に置く。ボールは体の前で両手で持つ。


※ワインドアップとは異なり、自由な足の位置が制限される。また、ボールを両手で持つ必要がある。


※ワインドアップとは異なり、ボールを両手で持ってからでも牽制出来る。


(2)自由な足を上げて軸足1本で立つ。


(3)自由な足でホームベース側に踏み出す。爪先はホームベースを向く。


(4)ボールを投げる。



●ランナーがいる時はセットポジション

 ワインドアップで投げるピッチャーでも、ランナーがいる際にはセットポジションになるのが普通。

(ルールで定められている訳ではない)


 セットポジションで投げるのは、セットポジションの方がクイックモーション(=素早い投球動作)に向いているため。その分、盗塁成功率を下げやすい。


※セットポジションには「自由な足を後ろ(=二塁側)に引く」「軸足をプレートと並行にする」という工程がないので、クイックで投げやすい。

(足を後ろに引く事は出来ず、軸足は最初からプレートと並行)


 また、セットポジションの方が牽制しやすいという事もある。


 ワインドアップの方は「投球動作に入ってボールを両手で持ったら牽制出来ない」という縛りがある。


※ワインドアップで振りかぶったりしたら、ランナーは牽制される心配がないのでリードを大きく取れる。

(投球後にキャッチャーが送球する事はある)


 一方、セットポジションは「ボールを両手で持ってからでも牽制OK」になっている。そもそも、セットポジションは両手で持たないといけない。


※セットポジションなら、投球する時のように自由な足を高く上げてからでも牽制は可能。ただし、牽制する塁に真っ直ぐ踏み出すのが条件。

(左投げなら、この方法で一塁に牽制出来る)



●ワインドアップでクイックをするなら

 まともなピッチングになるかは別として、ワインドアップでもクイックは出来る。


 自由な足を後ろに引かず、軸足の向きも変えず、最初から前に踏み出して投げればいい。振りかぶるのは時間がかかるのでダメ。

(軸足をプレートと並行にしたいなら、並行にした状態で立っておくのもアリ)


 ピッチングと言うよりスローイングのような投げ方になるので、球速・コントロール・ボールのキレなどが落ちそうだが、ワインドアップでもクイックは出来る。


 とは言っても、ワインドアップでクイックをする人は、ほとんどいない。やはり、クイックに向かないのだと思われる。



●ワインドアップで投げる=セットポジションが苦手?

 前述の通り、ワインドアップで投げるピッチャーでも、ランナーが出ればセットポジションにするのが普通。


 その場合、ランナーがいる時・いない時で違う投げ方をする事になる。


「どうせランナーが出たらセットポジションにするんだから、最初からセットポジションで投げればいいんじゃない?」と思う人もいるはず。


 それでもワインドアップで投げるのは、ワインドアップで投げる方が得意だからだと思われる。


 言ってみれば、ランナーが出た時には「仕方ないからセットポジション」で投げている。


 セットポジションの方が得意なら、最初からセットポジションで投げればいい。わざわざ苦手なワインドアップで投げる必要がない。



●ランナーがいるのにワインドアップ

 バッターを抑える事を優先して、ランナーがいる場面でもワインドアップで投げる事がある。


 ランナーが「三塁」「二塁・三塁」「満塁(一塁・二塁・三塁)」の時は、盗塁をあまり気にしないでいい。


※三塁ランナーがホームスチールしないと、後ろのランナーは盗塁出来ない。ホームスチールは成功率が低く、滅多に試みられない。


 そのため、ランナーを気にしてクイックで投げるより、バッターを抑えるためにワインドアップで投げたりする。


 ただし、ワインドアップはリードを大きく取られやすい。


 ピッチャーが足を後ろに引いたら、もう投球動作に入っているため、牽制は出来ない。牽制したらボークになるので、全ランナーが1つ進塁する。


 リードを大きく取られたら、打たれた時に点が入りやすくなる。ランナーがいる時にワインドアップで投げるなら、バッターを抑えないとかなりマズイ。


 なお、セットポジションのピッチャーでも、クイックしないで投げたりする。


 特にクローザーは、点差などの状況にもよるが、クイックで投げずにバッターとの勝負を優先する事が多くある。


 2アウト一塁が「ピッチャーがクイックで投げない」「ランナーが盗塁する」「キャッチャーが二塁に投げない」で2アウト二塁になる事が多い。

(キャッチャーが投げないので、盗塁が記録されない事もある)



●まとめ

・ワインドアップは体の正面をホームベースに向ける。


・セットポジションは体の側面(グローブ側)をホームベースに向ける。


・セットポジションの方がクイックに向いているので、基本的に、ランナーがいる時はセットポジションになる。


・ワインドアップで投げるピッチャーは、セットポジションが苦手なピッチャーかもしれない。

(セットポジションの方が得意なら、ワインドアップで投げる必要がない)


・盗塁される確率が低い時や、バッターとの勝負を優先する時は、ランナーがいてもクイックしない(ワインドアップで投げる)事がある。


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