内野手と外野手の送球について


※内野手(セカンド・サード・ショート)と外野手の送球について書きます。


※守備のプレーとしての「送球」についての解説です。プレーの後にピッチャーや内野にボールを戻すための「返球」は除外しています。


※特殊な状況を想定し始めるとキリがないので、通常の範囲内での守備・送球を前提としています。


※解説は間違っている可能性があります。あらかじめ、ご了承ください。


※長い説明が必要ない方は、最後の「●まとめ」の部分まで進んでください。



●内野手の送球は「アウトを取る」送球

 内野手は「内野ゴロ」を捕って一塁に送球するのが基本。これでバッターランナーをアウトにする。


※ゴロを捕っただけではアウトを取れない。送球やタッチなどが必要。


 ゴロを打ったバッター(バッターランナー)は、一塁に向かって走る。


 一塁にランナーがいた場合、バッターランナーのために一塁を空けなければならないので、二塁に走る事になる。


 内野手の送球は、このような「進塁の義務があるランナーをアウトにする」のが主な目的である。


 基本的には、内野手は内野手に送球する。



●外野手の送球は「任意の進塁を防ぐ」送球

 外野手は「外野へのヒット」や「外野フライ」を捕ってからの送球が多い。


※フライを捕ってからの送球が多いのは、ランナーがタッチアップするから。


 フライを捕った時点でバッターアウトであり、一塁に投げる事は少ない。ゴロ性の打球だった時も、一塁に投げる事は少ない。

(ライトが前進守備していたなら、ライトゴロにはなるかもしれない)


 通常、外野手が外野手に送球する事はない。そのため、外野手が送球を受ける事もほぼない。


 外野手の送球は「進塁を阻止する(躊躇させる)」のが主な目的。もちろん、アウトを狙って送球する事もある。


 外野にヒットが飛べば、大抵の「進塁の義務があるランナー」は進塁の義務を果たせる。進塁の義務を果たしたら、今度は「進塁の権利」を得る。


 一塁ランナー(二塁への進塁義務があった)が二塁に行ったなら、その瞬間、三塁に行く権利を得る。三塁まで行ったらホームに行く事も可能である。


 外野フライの時は、外野手が打球に触った瞬間、ランナーはタッチアップ可能。

(三塁ランナーがタッチアップでホームインすると「犠牲フライ」になる)


 外野手の送球は、義務がある進塁を防ぐのは難しいため、このような「任意の進塁(2個以上の進塁やタッチアップ)」を防ぐのが主な目的。


 ランナーが進塁しそうな時は、進塁先の塁に送球する。送球を見て、ランナーが元の塁に戻る事もある。コーチが「戻れ」と合図する事も。


 強肩の外野手の場合は、強肩を警戒してランナーがストップするため、送球前から進塁を防ぐ事も可能。



●「近くに投げる内野手」と「遠くに投げる外野手」

 一塁と二塁の距離は27メートルほどで、一塁と三塁の距離は40メートルほど。


 内野手の送球距離は、長くても45~50メートルくらい。短い時は数メートルしかない。


 外野手は送球距離が長く、70メートルや80メートル先への送球もある。

(送球したい塁まで100メートル以上離れる事もあるが、そのような時は中継が入る事も多い)


 送球には「①打球を捕る→②送球する→③相手が捕球する」と大きく3つの段階がある。


 内野手も外野手も、①から③までの時間を短縮したいのは同じ。だが、送球の距離が違えば、どのような送球をするべきかも変わる。


 送球距離が短い内野手は、素早く送球動作に入る事を重視。「①打球を捕る」から「②送球する」までの時間を短縮する。

(短距離走でスタートダッシュが重要になるようなもの)


 送球距離が長い外野手は、力強い送球を重視。「②送球する」から「③相手が捕球する」までの時間を短縮する。

(長距離走が(短距離走ほどは)スタートダッシュを重視しないようなもの)


 なお、内野手の送球は「味方に送球すればアウト」が基本だが、外野手の方は「送球を受けた味方がランナーにタッチすればアウト」が基本。



●内野手は「早く」投げたい(すぐに送球)

 内野手には、素早い送球が求められる。捕ったら、すぐに送球する。


 前述の通り、内野手がアウトにしたいのは「進塁の義務があるランナー」である。


 そういうランナーは1個先の塁まで行くので、内野手の送球は、ランナーが「ある塁(もしくは打席)から次の塁まで」走る数秒の勝負になる。


※内野への打球で2つ以上進塁する事は少ない。2つ以上の進塁を狙ってもアウトになる確率が高い。


 バッターが一塁に到達するまでの時間は、速い選手だと4秒弱。メジャーリーグの最速記録は3.3秒くらい。


 一塁ランナーが二塁に行くまでの時間は、もっと短くなり得る。リードを取る事で走る距離が縮まり、走る準備をした状態から走り始める事も可能。

(敬遠などを除けば、バッターはバットを振ってからじゃないと走れない)


 速いランナーをアウトにするためには、3~4秒の間に送球を完了させなくてはならない事になる。


 内野手は、捕ってから投げるまでの時間を短縮するため、ボールを取り出しやすい小さめのグローブを使っている。


 また、すぐに投げるために、以下のような送球をする。


・スナップスロー

 腕を横から前に振る感じのスローイング。腕を上げたり後ろに引いたりといった動作を省く事で、素早く送球に移る。


・ジャンピングスロー

 打球を追った流れでジャンプして空中からスローイング。着地して投げやすい体勢を作ってからではなく、空中にいながら頑張って投げる。


・ランニングスロー

 打球を追った流れで走りながらスローイング。足を止めて投げやすい体勢を作ってからではなく、投げにくい体勢のままでも投げる。


・背中の後ろを通す送球

 ランニングスローをする選手は、味方(送球したい相手)の横を通り過ぎてしまう事がある。自分の背中側に腕を回して、通り過ぎ様に送球する。


・膝を突いたまま送球

 打球に飛び付いた後、立ち上がる時間がもったいないので、立ち上がらずに送球する事がある。


・トス

 すぐ近くにいる相手へのトス。腕を上げるという工程が必要ない。ボールを利き手で持ったら、その時の手の高さから投げればいい。


・バックトス

 体の向きを変えずに、利き手側後方へのトス。体の向きを変える時間を省く。


・グラブトス

 利き手ではなくグラブ(グローブ)を使ったトス。ボールを取り出す時間を省く。


 これらは、いずれも「すぐに投げ始める」ための方法であり、ボールを遠くへ投げるのには適していない。特に、あまり速度が出ないトスは近距離専用。


 近くへの送球は、投げる方にとっても捕る方にとっても、トスの方がいい。相手が捕れないと困るので、至近距離の相手には全力で投げない方がいいと思う。



●外野手は「速く」投げたい(力強く送球)

 送球距離が長い外野手は、遠くに投げる必要がある。


「捕ってから投げるまでの早さ」よりも「投げたボールの速さ(肩の強さ)」の方が重要。


 すぐに投げてボールがヘロヘロになるより、若干の溜めを作ってでも強い送球をした方がいい。


「ゴロ」を捕ってからの送球が多い内野手と比べると、外野手は「フライ」を捕ってからの送球が多くなる。


※普通の内野フライの時、ランナーがタッチアップする事はまずない。そのため、内野フライの後に送球する機会は少ない。


 外野フライを捕ってから送球する時は、打球の落下点より少し後ろで待つ。


 そこから打球の落下に合わせて前進(助走)し、捕球後に強い送球が出来るようにする。


 ゴロ性の打球を捕ってから送球する時も、可能であれば、助走を付けながら捕りに行く。



●助走を付けて送球

 遠くに投げるため、外野手は助走を付けての送球を心掛ける。


 一方の内野手は、ほとんどの場合、助走の余裕はない。走りながらの送球(ランニングスロー)はするが、助走として機能する事は少ない。


 槍投げをイメージすると分かりやすいと思うが、助走として機能するのは「前に走って前に投げる時」である。


 内野手のランニングスローは、走る方向と投げる方向が一致しない事が多い。槍投げ風ではなく流鏑馬風。

(前に走って前に投げるとしたら、バックホームの時くらい)



●内野手と外野手はグローブが違う

 守備の違いから、使うグローブにも違いがある。


 内野手用のグローブは「ゴロを捕ってから送球しやすい」という特徴があり、外野手用のグローブは「フライを捕りやすい(落としにくい)」という特徴がある。


 詳しくはコチラ(↓)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054885286195



●まとめ

・内野手は送球距離が短い(内野から内野)

・外野手は送球距離が長い(外野から内野)


・内野手は「内野ゴロ」を捕ってからの送球が多い

・外野手は「外野へのヒット」や「外野フライ」を捕ってからの送球が多い


・内野手は「すぐに投げる」事を重視(早い送球/投げにくい体勢でも投げる)

・外野手は「遠くに投げる」事を重視(速い送球/助走を付けて投げる)


・内野手は「進塁の義務がある(1個先の塁に行く)ランナー」をアウトにする

・外野手は「任意の進塁(2個以上の進塁やタッチアップ)」を防ぐ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る