日本とアメリカのドラフトについて


※解説は間違っている可能性があります。あらかじめ、ご了承ください。



●ドラフトとは

 プロ野球やメジャーリーグなどで、獲得したい新人選手を指名して契約交渉権を得る制度の事。独占禁止法的に問題があるらしい……?


 何人指名するかは球団によって異なる。なお、獲得出来るのは「交渉権」であり、交渉が上手く行かなかったら契約には至らない。


 将来有望な選手が多い年は「豊作」と言われ、その反対の年は「不作」や「凶作」と言われる。



●メジャーリーグのドラフト

 メジャーリーグでは「完全ウェーバー式」が採用されており、基本的には、前年の成績が悪かったチームから順番に選手を指名する。トレードなどの時に指名権が他のチームに移る事もあるので、成績順になっていない部分もある。


 メジャーリーグでは(プロ野球でも)Jリーグのようなチーム入れ替えはないので、戦力が偏っているとリーグ運営に支障が出る。要は、つまらなくなる。それを防ぐためにも戦力の均衡は重要であり、弱いチームが強い選手を取りやすいようになっている。

(とは言っても資金力の差は大きいので、資金力があるチームは安定して勝てている。資金力不足のチームにとっては、資金力十分なチーム以上にドラフトが重要になる)


 ドラフトで指名された選手は、指名された順位が「全体~位」「チーム~位」と表現される。最初のチーム(基本的には前年の最も弱かったチーム)が最初に指名した選手が全体1位。次のチームが最初に指名した選手は、チームでは1位で全体では2位。


 当然ながら、いい選手から指名されていく。全体で1位や2位になる選手は、相当な期待がかかっている選手である。合計1000人以上(プロ野球の10倍)が指名され、メジャーリーグのドラフトは3日くらいかかる。


※メジャーリーグは30球団で、各球団が30~40人指名する。


 成績が悪いチームほど優秀な選手(と思われる選手)を獲得出来るので、弱かったチームが数年後に優勝争いをするようになったりする。


 メジャーリーグでは、シーズン中盤に「ポストシーズンを目指して頑張るチーム」と「諦めて来シーズン以降に備えるチーム」とがハッキリ分かれる。オールスターゲームまでに勝率5割が大体の目安で、これを超えているチームは戦力補強に動き、大きく下回ったチームは若手育成に切り替える。


 頑張るチームは数人の若手を放出し、諦めたチームから主力選手を獲得する。諦めたチームは若手を積極的に使うようになるのだが、もはや勝つ必要が無い。わざと負ける事はしないだろうが、成績が悪い方が翌年のドラフトで指名順が早まる。

(そもそも、勝つつもりなら主力を放出しない)


 日本で同じ事をしたら「やる気あんのかボケェ!」と言われそうだが、アメリカでは「来シーズンこそは頑張ってくれよー」「ドラフトで優秀な選手を取れよー」ぐらいに見守ってくれる……かもしれない。



●プロ野球のドラフト

 プロ野球では、ドラフトの仕組みがメジャーリーグに比べて少し複雑になっている。


 まず、12球団全てが一斉に1位指名をする。1球団ずつ読み上げられるが、指名自体は一斉に行っており、全球団が指名し終わってから読み上げに移る。


 複数の球団が同じ選手を指名する事を「競合」と言うが、理論上は12球団が競合する可能性もある。12球団が競合するとしたら、奇跡的なレベルの逸材。


 一方、競合せずに1位指名する事は「一本釣り」と呼ばれる。一本釣りになれば、そのチームは無事に1位指名を終える。先述の通り、これは「交渉権獲得」に過ぎず、ドラフト会議の時点では「選手獲得」には至っていない。交渉決裂でドラフト1位指名した選手が入団しない場合もある。


 一本釣り出来ずに競合になった場合は、競合した球団でクジ引きをする。クジを引く順番は、成績が悪かった順になっていると思う。3球団競合なら代表3人がクジを引くのだが、3人目は残っているクジを引くだけなので、わざわざ引く必要がない(係の人が渡しちゃっても同じ)はずなのに、わざわざ引く習慣がある。


 当たりクジを引いたチームは、指名した選手との交渉権を得る。ハズレのクジを引いたチームは、新たに選手を指名する。これは「ハズレの1位」と呼ばれている。ハズレを引いたチームが複数だった場合、その全てのチームが一斉にハズレの1位を指名する。


 ハズレ1位でも競合になったら、またしてもクジ引きをする。ハズレを引いたチームは「ハズレのハズレの1位」を指名し、それでも競合になったら(以下略)


 理論上は「12球団が競合してクジ引き→ハズレを引いた11球団がハズレの1位を指名→ハズレの1位指名で11球団が競合してクジ引き(クジ引き2回目)→またしてもハズレを引いた10球団がハズレのハズレの1位を指名→10球団が競合してクジ引き(クジ引き3回目)→(中略)→最後まで残った2球団が競合してクジ引き(クジ引き11回目)→最後までハズレを引き続けた球団がハズレの×11回の1位を指名」も有り得る。


 1位指名が終わると、今度は2位指名に入る。2位指名からは「ウェイバー式」と「逆ウェイバー式」が混ざり、1球団ずつ指名するので競合は発生しない。


 2位指名の時にはウェイバー式。その年の順位が低かったチームから指名し、例えば「パ・リーグの6位→セ・リーグの6位→パの5位→セの5位」のようになる。セからかパからかは年によって異なるが、セとパが交互に指名している。


 2位指名が終わったら、最後に2位指名をしたチームが連続で3位指名をする。2位指名とは変わって逆ウェイバー式になり、成績上位チームからの指名になる。2位指名がパの6位から始まったなら、3位指名はセの1位から始まってパの6位で終わる。


 3位指名が終わったら、最後に3位指名をしたチーム(最初に2位指名をしたチームでもある)が連続で4位指名をする。再びウェイバー式で、2位指名の時と同じ順番になる。


 このように、1位指名については同時に行うが、2位指名以降はウェイバー式と逆ウェイバー式が交互になって選手指名が進む。メジャーリーグとは仕組みが異なるので、戦力均衡という点では微妙かもしれない。強いチームが強い選手を1位指名で獲得したりする。


 メジャー式のドラフトは「現在の戦力+ドラフトで獲得する新戦力」で均衡を図ろうとするもの。ドラフト指名直後にメジャーデビューというのは難しいので、新戦力が力を付けるまで多少の時間はかかるものの、しっかり育成すれば強いチームになって行く。


 一方の日本式のドラフトは「ドラフトで獲得する新戦力」のみで均衡を図ろうとする形になっている。ウェイバー式と逆ウェイバー式を交互にして指名するのも、上位チームも下位チームも不利にならないようにとの配慮なのだろう。ドラフトは下位チームが優先されるべきだと思うが……。


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