第2章 財布は働く、肴を求め
第壱話
――――金が足りないっ!!
僕は
酒屋(ただし小さい)の孫だった僕だが、突如現れた飲ん兵衛の鬼・
その首領・
「……宿というのも、案外悪くないな?」
始めこそ脅迫してきた監視役の
女騎士がチョロいのは、世の常なのか?
「それにしても何だ……この『
お眼鏡に
鬼ともなると酒で唸らせるのは至難であるはずなのだが、
僕の貯金も中々のダメージを食らった。
「……槐様への肴、どうするのだ?」
「明日、知り合いの所に行く予定なんだ。そこは老舗の乾物店でね。そこで買うつもり」と、僕は鼻高々に誇った。
商いとは横繋がりだ……とは僕の祖父の口癖である。
祖父が酒屋を22歳で継いでからかれこれ半世紀、そんな家の数少ない創業当時からの付き合いだという乾物店・『
僕は明日一番、開店前から並んで行くつもりだった。
【漁河干物屋】の売りは商品どれを取っても『安さ・美味しさ・噛み応え』を大事にしている所である。
さすがの鬼でも『アレ』には面食らうだろう……と、僕は考えていたのだった。
「さ、今日はもう寝よう。明日は早いから」
「――――だが、何故だ……」
「うん?」
「何故私と貴様が相部屋なのだァッ!?」
役得役得。
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