荷話
恵子の部屋にある空き部屋を一つ貰った。なので私は寝床の準備をする。
まずは寝る場所を決める。そして糸を作り放射線を描く様に糸を張る。張り終えたらネットの様になる様に糸を張り、最後に少し糸で補強する。
ヒト姿での巣の大きさはこの位が丁度いいだろう。私は腕を組み頷きながらそう思った。
「あ、そう言えば部屋の事なのだけれど自由に使って構わない……わ…よ………」
恵子が扉を開けて話しかけて来たが、何故か最後の辺りで私の巣を見て言葉を失っていた。もしかして出来栄えが良くて感心しているのかしら?取り敢えず私は『良い仕事をした』的な感じの表情で両手を腰に当てて胸を張ってみた。そこで気が緩んでしまったのか、私の背中から8本の蜘蛛の足が突然生えて来てしまった。それに驚いた私はアタフタとしてしまった。
そこで固まっていた恵子の口が再び動き始めた。
「あ、貴女……人間じゃ無いの……?」
私はその問いに頷く。
「じゃ、じゃあ……貴女の家はあの廃れたトンネルなの……?」
トンネルが何か分からないが洞窟のことだろうと思い、私は頷く。
「その、背後の蜘蛛の足も貴女の足?」
分からないけど私の背中から生えているのだから私の足だろう。私は頷く。
「今、蜘蛛の姿になれるかしら?」
私は首を横に振る。なったとしても、恐らくだが『マンション』が全壊する可能性がある。もし、壊してしまったら、あの洞窟に住んでいた時に来たヒト達がまた私を殺しに来るだろう。
「なれないの?もしかしてこの部屋じゃ大きさが足りない?」
私は頷く。
すると恵子は私に金属で作られた『何か』を私に向けた。そして『何か』からプシュッっと音がしたと同時に、その『何か』にある穴から小さな金属の塊が私の脳幹に目掛けて一直線に飛んで来て………私の頭を貫いた。その瞬間、私の体は力が入らなくなり、反動によって後ろの巣に背中からもたれ掛かる様に倒れた。
「ア……アァ………ウゥゥ……」
「流石化け物ね。一発じゃ直ぐに死ねないのね」
徐々に私の視界がぼやけてくる……視界が血で
そして私の意識は深い闇に落ちた。
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