第二十二回 筑前、創作論で妻に論破される
自分で言うのもなんですが、僕の作品は基本的に暗いです。
どうして暗い作品が多いかというと、尊敬するさだまさしの、
「人生は明るく、歌は暗く」
を真似ているところもあるのですが、小説は僕の感情の発露でもあるので、どうしても暗い作品が多くなりがちです。
初期の作品なんて、主人公は八割死にますし、生き残る登場人物は少ない。女も高い確率で悪女ばかりって具合でした。
そんな僕ですから、とうとう嫁さんに言われてしまったのです。
「ギャグを書けとは言わないけど、たまには心に闇を抱えていない主人公書いたら?」
僕は、
(お! こいつ、俺に創作の論戦を挑んで来たな!!)
と、思いまして、イキッてこう言ったんです。
「心に闇の無い人間なんかいるかよ! 人間はな、人間ってのはな、生きているだけで汚れるんだよ。その汚れが、心の奥底に沈殿したものが闇なんだよ! つまり、俺は当たり前の人間が書きたいんだよ!」
そう言った時の、陶酔感たるや……。
しかし、妻がこう言い返しました。
「闇を抱えていない人間が存在するから、フィクションだしエンタメでしょ!? 当たり前の人間を書くのもいいけど、当たり前じゃない事が存在するのも小説じゃない?」
ぐぬぬぬぬ。
僕が書くかどうかは置いといて、仰る通りです。
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