シークレットボード

■

両親からの反対を押し切り、猛勉強を経て女学校に合格。生まれ育った街を離れ、大都市で憧れだった一人暮らしを始めた少女。

しかし、上京から一年。悪友からの誘いで始めたギャンブルに夢中になってしまった事で生活は一変。

細々と続けていたバイトの給料達はもちろんの事、しまいには親からの仕送りもすべてギャンブルに使い込むように。

「このままじゃいけない……」

そう思いながらも、抜け出す事のできない少女。そんな自堕落な日々の中、彼女は一つの不思議なサイトを見つけた。

「……なにこれ。この掲示板、URLが無い……？」

サイトアドレスの欄が完全に空白。その今までに見た事の無い、不気味なページを眺めていると。唐突に1個のポップアップが飛び出し、彼女を驚かせた。

「ここは『秘密』の掲示板。あなたの『信じる強さ』。換金いたします」

まるで少女の文章を読むスピードに合わせているかのようなタイミングで。ポップアップは次々と飛び出し、その内容を語ってきた。

要約すると。仕組みはわからないが、この掲示板で発言した瞬間の「自分の中にある何かを信じる心」をお金として買ってくれるという。

「信じる気持ち自体の強弱レベル」「信じる対象物の希少性」「邪念が入らないほど透明とされる純度の高低」「心の中を満たす信念の密度」などもろもろ。

信じる気持ち自体の内容に始まり、その時の需要供給。信念の相場次第で、換金される額が様々に変わっていくらしい。

かくてここに、人間、社会もろもろ全てへの不信の海のどん底に沈んでしまった一人の少女の。強い信念。信じる気持ちをもう一度取り戻すための浮上の物語が始まった。