第2話 NEXT

お題


「なあ、いつまで、泣いてんの?」

「だ、だって、私の言うことを聞いてくれないから」

 そうよ、もとわと言えば、この彼のせいだ。

 私の能力『アブソウル』を効かない彼のせいなんだ。

「はあ、さっきから。それしか言ってないけど。なに、君はそれしか、話せないの?もしかして」

「いえ!違いますから!」

「俺まだ最後まで言ってないけど?」

「いいのですよ。どうせ、ロボットとか言うつもりだったんでしょう!」

「いや、違うけど」

「え?じゃあなんて」

「なにかの、性奴隷って聞こうとした」

「っな!そ、そんなのそんなんの……ぐす」

「あ、ごめんな、今のは、あれだから、そう!冗談だからさ」

 絶対嘘!だって、冗談って言った時なにかひらめいらって感じだったもん。

(はあ、どうしたものか。この自称神様幼女は。確かに性奴隷っていたのは、悪かったけども。でも、こんなに泣く必要あるかな?どうしたものか 。この幼女を泣き止ませて、そして、彼女を納得させる方法は……あ!思い付いたぞ)

「なあ、ゲームをしないか?」

「ふぇ?ガーム?」

「そう。ゲーム」

(なんだよ。そのガームとやらは。なに、ガムがガームすること?)

「うん。わかった」

 もう。これは、私じゃないです。これは唯のです。

 特性Ⅰ:一定量の涙を出すと、思考回路までもが幼女化する。

(んーと、なにがいいかな。この幼女と一緒に遊べて、俺自身も楽しめるゲームは。……なにも思い付かない。よし、もう、ババ抜きにしよう)

「じゃあ、今から、ババ抜きをしよう」

「うん」

 そして、私と彼の勝負は、始まった。

 結論を先に言うと、私の負けでした!

 そのあとの、彼の顔がまた勝ち誇った顔で。

(圧勝だったな。まあ、今のあいつは、幼女化しているわけだし、思考回路がどうなってのかは、しらないけど、どうにかして、元の姿に戻って貰わねば)

「なあ、どうやったら、元に戻るんだ?」

「わかんない!」

(やばい、もの凄くむかつくぞ。この幼女)

「そんな、怖い顔しないで」

(本当めんどくせえ)

「んーと、じゃあ、泣いて幼女化したんだから、その逆のたくさん笑わせればいいのか?」

「わかんない」

(さっきから、わかんないしか言わないなこの幼女さんは)

「じゃあ、ともかく、笑わせるぞ」

(ってもどうすれば、笑うんだ?わからん)

 必死に俺は、笑わそうとした。でも、この幼女笑わない。

(くっそ、本当うざいぞ、早く笑えや!)

 10分後。

「はあ、はあ、なんで、笑わないんだよ……」

「わかんない」

(どうすれば、いい。はあ、しょうがないか)

「わかった。異世界アクアに行く」

「本当?」

「本当だ」

(正直面倒くさいのだが、まあ、仕方ない。アクアでも、なんやかんややって死ぬんだろうし。はあ、最初から、素直に行くと言っとけばよかった)

「わかった。ただいままら、もん《アストラルゲート》をあける!では、ゆしゃになるものよ。われといっしょにあくあへ!」

 そう、神様幼女が、言うと、俺の目の前は、強い光に包まれた。


続き


 光が晴れた時、俺はアクアにいた。

「ここがアクアか」

「そう、ここがアクアなのれす」

 そこは町の広場だった。そして俺達の周りには大勢の幼女たちが集まっていた。みんなわいわいとっても賑やか。俺は改めて隣にいる初代幼女ユリエ・エクソメイルに訊ねた。

「ここがアクアなのか」

「アクアなのれす」

「みんな幼女になってるぞ」

「大丈夫。幼女は同じ幼女を3つ繋げると消せるんです」

「本当かなあ」

 俺は半信半疑ながらもあっちの幼女を右手で掴み、こっちの幼女を左手で掴み、持ち上げて運んで同じ幼女のところに歩いて行って三人くっつけた。幼女はパチンと泡が弾けるように消えた。そして、新しい幼女が降ってきた。

「幼女がまた増えたぞ。せっかく消したのに」

「早く消すんです。制限時間がありませんよ」

「時間があるのかよ」

 俺は焦りながらもどんどん消していった。そして、時間が来て大勢いた幼女達はみんな帰っていった。

「今の行為に何の意味があったんだ」

 俺が感じたのは徒労だけだった。ユリエはとても余裕たっぷり自信たっぷりに発言する。

「神があなたを試したのれす」

「神?」

「我こそ神!」

「そういう設定あったなあ」

「設定じゃないれす。ともかくあなたは幼女と戦う強い意思をお持ちのようだ」

「幼女なんていても煩いだけだからなあ」

(この人は幼女に興味が無いんでしょうか。それともあっちの気があるんでしょうか。ともかく)

「そんなあなたにこの幼女刀ムラマサンを授けましょう」

「まあ、くれるってんならもらっておくか」

 俺は怪しい刀だなあと思いながらも受け取っておいた。まあ、役に立たなかったら売り飛ばすか投げ捨てるかしておけばいいか。

「じゃあ、旅立ちますか」

「旅立ちますか」

 そうして俺は旅立ったのだ。だが、町から出て少し行った丘の上で幼女ユリエは思い出した。

「あ、その前にギルドで登録しておかないと」

「駄目か?」

「あるとモンスターを倒した時にポイント付きますよ」

「じゃあ、行くか」

 というわけで俺達は町に戻ってギルドに向かった。

 その先には何が待つのか。

 俺達の冒険はまだ始まったばかりだ!

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