さやかと初恋 Ⅳ


「失礼しますっっっ!!!」


   部屋を震わせる…とまではいかないものの、十分な大声にさやかは現実へと引き戻された。


   はぁ、はぁ、と肩で息をしながら、遅れて…すいません…と云うその声の主は、


「っと、新しく、さやかさんのマネージャーを務めさせていただく、波多と申します!!!」



    波多、と云うらしかった。

 


 



 


「・・・さやかさんっ!ですよね!!!」

 


 探してた人が見つかり,波多は、ふにゃぁと顔を緩ませた。

 明るい茶髪に、くりくりとした目。人懐っこい笑顔。

 俗に言う子犬系イケメンだった。

 


 あぁ。あのマネージャーが云ってたの、この人のことか。

 とさやかは、『本物だー』『せーたかーい!』とか云っている波多をスルーしつつ思う。



「さやかちゃーん!そろそろ良いかなー?」

 


 遠くで自分を呼ぶ声がした。

 あ、そういえば。撮影の途中だった。

 


 どこか遠くに跳んでいってた意識を引き戻し、答える。

 


 すると、いつの間に人の輪の中から抜けてきたのか、波多がさやかに走り寄ってきた。

 


「あの!!さやかさん!!よろしくお願いします!!!」

 


 より一層笑顔を輝かせて。

 なぜか知らないけど、さやかの心臓の音が早くなった。

 


 


 


 その時。

 


 


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