さやかと初恋 Ⅱ
新田マネージャーは、さやかがデビューしたときからずっと一緒にいた。
さやかにとって、この世界で、心許せる人の一人だった。
だから、その人が辞める、と聞いたときのさやかは珍しく目を潤ませていた。
そして、その人に変わる人は誰なのか、さやか自身、気になっていたのだ。
さやかのそんな心内を知ってか知らずか前に座るマネージャーは、ペラペラとしゃべりだした。
「ーーでさ、その新人、まった、イケメンなのねー。まあ?俺には負けるけど?」
「……」
「そこー、さやかちゃん?!そこはスルーじゃなくて、わらうところ!!
もう・・・本当。」
「……」
「でね、そいつ茶髪でなんかもう、俳優でもやってんじゃないかってくらい…誰に似てんだろ…?
あ。今、月9に出てる人だよー。ソックリ、ソックリ。」
一人の世界に入ってしまった彼を無視し、さやかはゆっくりと流れる雲を見ながら。新しい奴は、こいつよりもまともであれ、と願っていた。
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