20210703_答えは一つ

「あー、その……なんだ……」

 会社の先輩と居酒屋のカウンターでごはんを食べている。先輩はビールを頼んだものの舐めただけ、私はお酒が飲めないのでジンジャーエールを頼んでおり、文字通りごはんを食べているだけだ。

「あー、あの……あのだな。お前、今いくつだ」

「二十八です」

「そうだよな。俺は三十だ。その……そろそろ……親が煩くてだな」

「地元に戻られるのですか? 寂しいですね」

「違う! その……戻るのなら、一緒に……あーもう! 俺と結婚してくれ」

「わかりました。良いですよ。各実家への挨拶はいつにします?」

「はあ?」

 先輩のぽかんとした顔が面白くて笑い出したら先輩も笑ってくれた。そういう一生を彼と過ごしたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る