02. 「不満が原動力」の功罪
私が書いている小説は、全てが「キャラクター・エンターテインメント」というカテゴリーに分類される。
役割、ポジションなどによって多様に設計されたキャラクター達の存在を前面に押し出すのが、最大の特徴。個々の魅力やキャラ同士の絡みなどで読者を最後まで牽引してゆく事が、進行上の大きな柱になっている。
実際、今の日本はキャラクター文化が全盛期だと思う。
「なろう」やこの「カクヨム」でもキャラクター小説は多いし、各社のエンタメ部門では求められるものの多くがこのキャラクター・エンターテインメントだ。募集記事にはその辺りの要望がとてもはっきり出ているので、間違いないだろう。
このカテゴリーは、大分類の門を通った直後、各ジャンルへと分かれてゆくのだが。
実は、この中分類とも言うべき各ジャンルの中で、おそらく全てがまず二つの傾向に分かれてゆくと思う。それも、同じ二分類に、だ。
ざっくり書くなら、「不満を原動力にし作者が企画を起こしている作品」と「そうでない力を原動力とする作品」か。
ここ数年、書くにしろ読むにしろ人気沸騰中の「異世界転生物」は、上記の前者に分類されやすい。私も、その意見には見るべきものが多いと思う。
但し。これは断言しておきたい。
私は別に、その「不満が原動力」という事自体を良い悪いで評論するつもりはない。不満を原動力にする怖さは、もっと別のところにある、と考えている。
作者の内にある大きな不満が創作のエネルギーとなるのは良い事だし、異世界での生活を主人公と共にする事で読者が「いいなぁ、こういう日々♪」と思う事も、とても大切だ。
私自身、二次創作小説を書いていた頃、不満を原動力とした作品は書き上げている。
3クール目が駆け足になって終了した『ガンダムX』の終わり方。それに満足できず、最終回の放送前に見当で全ての辻褄を合わせたミッシングリンク小説というものを書いた。
不満のエネルギーが頼りになる事は知っているし、その爆発力が作品に妙な気迫を生じさせる事も知っている。私自身が体験しているのだから。
ただ。とあるロボット物のシリーズ同人誌『呉越同舟』(合計6冊出した)という二次創作作品を最後に、私は不満を原動力にする事から手を引き始めた。
おそらく年齢的なものもあるのだと思う。爆発燃焼するエネルギーに自分の内燃機関が次第についてゆけなくなる感覚は、確かにあった。
ただ、もう一つ。「不満ではなく、プラス志向の渇きを原動力に書く方が長く書き続けられる」事に気付いたのも、間違いなくこの頃だ。
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