満月の囁き Ⅴ


「その願いを聞いてやりたいが・・・


そのカルマを、わしに解けるか難しい問題

だよ。」



「じゃあ、話しは終わりだ。

この女を助ける義理は俺に無い。


それに、このカルマのせいで、

俺は、ろくに職も持てない

ただの飲んだくれなんだ。


明日の我が身もわからなければ、

死んでしまえば良いとさえ思ってる。


そんな男に頼んで、込み入った任務を遂行すると思うか?」


「住む家はどうしてる?」


「あぁ、廃れたボロアパートに住んでる

よ。そろそろ、追い出されそうだがな。」


「なら、少なくとも心地よい住まいと生活に困らないだけの金銭を君に約束しよう。

任務を続行する事によるだ。


なので、任務を遂行する度に報酬は受け渡す。例えば、この女の足取り等の情報を掴んだり進展がある度にだ。

また、この任務を降りない限り御前さんが生活に困ることもない。


君のカルマに関しては・・・少しこちらでも調べてみるよ。何か力になれないか。


どうかな?」


「・・・・・。


いいだろう。」


「なら、決まりだ。


暫くはホテルで生活してもらう事になる。

彼女が住んでいる場所を掴むまで

転々とする事になるだろうから。


移動費や必要な備品等も、言ってもらえれば全て用意する。」


「その女幾つ位だ?」


「恐らく今年で25になる。」


「俺と同じ。」


「あぁ。」


「どうして、この女の能力が政府にバレた

んだ?」


「ある時、女の母親から政府に連絡が行ったんだ。

その当時、まだ子供だった娘のその能力を、薄気味悪がったんだろう。

政府に娘の能力の利用性を伝え買ってもらい、我が子を追い払いたかったんだ。


そして、子供が政府の手に渡り母親は報酬金を受け取る事が決まった。


その数日後にその一家の家は炎に包まれ、大火災の中、皆命を落とした。


ある一人を除いてな。」


「それが・・・その女か。」


「そうだ。

それから、その女は消息を絶った。」








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