満月の囁き Ⅳ


「それで、何故そんな話をわざわざ俺にし

たのかそろそろネタばらしでもしてもらおうか。」


すると、男の目の色が変わった。


「ありゃ、


お前さんお見通しだったのかね。」


「あぁ、恐らくその魔女って呼ばれてた女

に心当たりがあってね。


そんな女は、いくら、探してみても中々居ないもんだ。」


「そうだな。


で、その血を引き継いだ御前さんに頼みが

あるんだよ。」



「血か・・・・。


それで、その頼みは聞ける話か?


それとも・・・。」



「さぁ、聞けると祈るくらいしかわしには出来な

い。」



「そうだろうな。


で、その要件は?」


「ある女を探し出したい。

いや、これは指令なのだ。


探さなくてはならない。」


「その女って?

何で探さなくてはならないんだ?」


「その女は特別な能力を持っている。

よって政府がその力を悪用しようと総力をかけて裏で探している。

だが、政府の手に渡る前に見つけ出さなくてはならない。」



「どんな力だ?」



「人の心を読んでしまう能力だ。

相手の思惑から心境まで。

相手から何も聞き出さずに。


表情や言動から相手の心理や思想を不鮮明に分析して読み取るのとは違い、

相手の心理や思想そのものが彼女の脳裏に反映される。」


「それは、怖い話だ。」


「あぁ、だからこそ政府はその能力に目を付けた。

商談や交渉を思うままに運べ、機密情報全て漏洩させずに有利な情報を収集できる。

その為のスパイも必要ない。

他にもあらゆる手段に駆使するだろう。

そして、彼女の能力を研究し、クローンを何体も生み出し、政府が依頼した

任務を遂行する為に何ヵ国へも派遣させるだろう。」


「なる程、その能力の利用先は広がりそうだな。」


「そうだ。そして、その先に待つのは暗黒だ。


そこで、君にはまた彼女とは違う能力がある。

人を恐ろしいまでに惹き込んで離さない力だ。圧倒的な支配力となるだろう。

これは、ただ造形が美しいもが者が持つレベルの力ではない。

もっと、厳格で高尚で、抗えない魔力のようなもの。


わしには分かるよ。


その力で、彼女の居場所を突き止め

連れてきて欲しい。

勿論、生存した状態でな。」


「それで、俺に何の利益がある?」


「君の願いは何だ?」


「この魔女に植え付けられた、

くだらなくて残酷なカルマから解放される

事だ。」


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