満月の囁き III



「魔女?・・・どうかな?」


「もし本当に魔女が現存したら?

どういうことになると思う?」


「そりゃあ、面白い事になるんじゃないの?」


「そうだ。

お前さんはまだ若い。


だが・・・まぁ。

これは、今はいい。


ここで、ある女の話をしよう。


ある所にそれはそれは見目麗しい女がいた。

氷のように肌は白く、サファイアブルーの様に美しく透き通った瞳、

まるで、おとぎ話から飛び出たかのように生活感の無い謎に包まれた恐ろしく美しい女がいた。


その女に関わると

ある男は半狂乱に発狂したり、露出狂になったり、

青白い顔で震えながら逃げ出したり、

まるで別人のように気が可笑しくなっていった。


老若や地位も問わず、どんな男必ず豹変した。


そして、彼等の末路は決まって死だった。自殺した者も居れば、狂ったように線路や路面に突っ込んで事故死した者もいる、


何時しか、女は世間から【魔女】と呼ばれるようになった。」



「へぇ・・・。バートンさん。


なかなか、面白いネタ持ってるじゃない。少なくとも、退屈しない夜になりそうだ。


「だろう?」


「それで、その女は最後どうなったと思う?」


「魔女なんだろ?なら火炙りじゃないのか。」


「さぁな。

それは、内緒にしておこう。」


「何でだよ。

オチを言わないのは卑怯だろう?」


「すまない。

この魔女の末路が、実際のところどうなったのか

真相は、わしにも分からんのだよ。


噂は、沢山あるんだがな。」


「どんな噂だい?」



「あぁ・・・、それが。


例えば、魔女に怒りを覚えた男に集団で串刺しにされたとか、自ら命を絶ったとか、大富豪の男に買われたとか、

ある男の子供を身籠ってひっそり何処かで生きているとか・・・色々だ。」




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