日陰の向日葵の回想 I
締め切ったカビ臭く埃っぽい室内の窓を、数日ぶりに開けると、
渇いた風が音もなく入ってきた。
外に足を運べば、 酸素需給して細胞の老化を保身しながらも、無意味に生きる
というだけの生態的な利害だけが、私と一致した
世にも不愉快な人間共の醜い心と奇異の眼に晒される。
でも、恐れるものはそれではない。
数年、外出というものをもっぱら拒み続けてきた。
どうせ、奴等の思惑なんて高々知れてる。
性に欲に金に地位に虚栄に溺れ、その虚空の亡者に一生翻弄されてるゾンビ達。
それを、生きる事で矛盾した欲望さえ正当化するが為に所在している。
あの事件が起きる以前から、人間社会にほとほと落胆をしていて、一定の距離感を保つことで薄汚い欲望の渦に巻き込まれないよう保身してきた。
私の重厚な皮革の下にどんな心裏が眠るか人は気付かない。
その方が優位だ。
何かあれば眠らせておいた鋭利な言葉で核心を突き唖然と失望を与えられるのだから。
だが、無意味に多用せず気付かないふりをする。
それが、一番私にとって楽であるから。
それに、私の力を知られてはならない。
世の中には沢山の闇が眠ってる。
知らなくて良いものから知りたくないものまで。
本当に汚れなき美しいものがあるとすれば、動物や植物など自然に抗わない者達だ。
高知能と唱える人間は、自ら滅びの世界を歩むだろう。
自ら滅びの世界を歩むだろう。
技術、機能、それらよりもっと根本的に大切な、部分の、
根底、心理、心得を御座なりにしていく人間社会の闇が発端になる。
じわじわと侵食し、何れ大きなものとなり形を変えて降りかかってくるのだ。
その被害を被るのは、発端となる人間だけでは無いだろう。
組織は恐らくまだ私を探している。この力を悪用する為に
それは、またしても世界の滅亡を呼ぶ
私はどんな事があっても掴まってはならない。
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